ヒガンバナ植栽ボランティア記念碑除幕式 /(一社)日本造園建設業協会長崎支部 (一社)長崎県造園建設業協会 /県が新たな名所に感謝、11年間の活動を称える
2019年09月28日(土)
地域貢献
地域貢献
(一社)日本造園建設業協会長崎県支部(田雑豪裕支部長、㈱庭建)ならびに(一社)長崎県造園建設業協会(西田厚志会長、西田造園土木㈱)は19日、ヒガンバナ植栽ボランティア記念碑の除幕式を執り行った。この記念碑は、両協会が11年継続してきたヒガンバナ植栽ボランティアの竣工を記念したもの。当日は、堤防道路が繋ぐ高来町と吾妻町から、金松園保育所・大福寺保育園の園児らも招き、除幕ロープ引きとヒガンバナの苗を植えた。
記念碑を設置した諫早湾干拓地潮受堤防の中央部駐車場には、長崎県農林部の中村功農林部長、上部団体となる(一社)日本造園建設業協会の正本大業務執行理事、同協会九州総支部の執行英利総支部長、県造協顧問の八江利春長崎県議会議員らも出席した。
開会のあいさつで西田会長は、活動を支えてきた来賓らと、社会貢献と造園業の発展を共に継続してきた会員らへ深々と謝辞。続けて、「私たちは建設業の中で唯一、生き物を扱う職として日々邁進している。ヒガンバナを植栽することで、地元の方々、ドライバーの方々の心を癒す奉仕活動が出来たことを一番嬉しく思う。本日、来ていただいた園児の皆さんが育っていく過程で、この花と共に私たちのボランティアの心も育んでいくものと確信している」と活動の意義と展望を語った。
その後、主催者・来賓・園児らで記念碑の除幕を行った。縦1㍍20㌢、横1㍍50㌢の記念碑の前に並び会場の掛け声と同時にロープを引いて除幕。さわやかな秋空の下、園児らの笑い声や出席者の拍手が風にのって響いた。 来賓を代表してあいさつに立ったのは、中村農林部長(中村法道長崎県知事代理)、正本業務執行理事(和田新也会長代理)、八江県議会議員の3人。
中村農林部長は、「地域の新たな名所として、長く愛される施設にしていただき心から感謝いたします。同道路は毎年秋に開催されるウルトラウォーキングのコースとなっており、皆様のヒガンバナが延々と続く美しい景色で、地域資源の魅力がさらに高まった」と中村知事の祝辞を代読、両協会に感謝の意を示した。
正本業務執行理事は、「長崎県関係部局の皆様には本事業を支え見守り下さりありがとうございます」と述べ、「このような地域貢献活動は、地域活性化の他、造園業界の発展にもつながる重要な取り組みです。ヒガンバナの花言葉には再会などがあります。この場所が美しいだけでなく、人々の出会いをつなぐ場所となっていくことを願っています」と活動に参加した会員らを称えた。
活動の立案者である八江県議会議員は、「諫早湾干拓事業は賛否両論あり、負の遺産と叫ばれる中、そのイメージを払拭したいという想いがありました。ヒガンバナは毎年同じ時期に必ず咲きます。これを契機に、諫早湾干拓事業が世の中に認められるよう願っています。県下各地の造園業の皆様と11年に渡り活動出来たことを一番嬉しく思います。一致団結することで、これほど立派なことが出来ると証明していただきありがとうございます」と地元と会員らへの想いを語った。
閉会に際して田雑支部長は、これまでの活動に伴う上部団体の支援に厚く感謝を述べた。最後に、「11年間続いたボランティア活動は終了いたしますが、今後も、我々をより知っていただく活動や、地域の皆様に喜んでいただけるボランティア活動を検討していきます」と造園業の展望を語り、会場の温かい拍手で幕を閉じた。
閉会後、園児らが記念碑の周囲にヒガンバナの苗を植栽。スコップを片手に穴を掘り、記念碑の周りには青空と諫早湾の青に負けないくらい真っ赤なヒガンバナが植えられた。
■11年間で33万球を植栽
(一社)日本造園建設業協会長崎県支部(田雑豪裕支部長、㈱庭建)および(一社)長崎県造園建設業協会(西田厚志会長、西田造園土木㈱)は、2009年7月~19年7月までの11年で諫早湾干拓地堤防道路(全体延長約7㌔㍍)にヒガンバナ約33万球を植栽、今年7月の植栽をもって竣工した。本紙では、11年間の「ヒガンバナ植栽ボランティア活動」を追った。
活動の始まりは、事業計画で地域への社会貢献活動に取り組むと検討した際、県造協の顧問である八江利春長崎県議会議員が同道路にヒガンバナ植栽を提言。諫早湾干拓事業の問題に造園業として何か出来ないかという想いがきっかけとなった。
その後、県央振興局農林部との協議を重ね、09年7月28日に第1回目の植栽活動が行われた。当時は、県造協の山本規仁会長の下、会員約60人が参加。同道路中央の展望所を中心に全長600㍍区間に約3万2000球を植栽した。当時は、雑草が多く草刈を先行しながらの作業だったという。これを皮切りに、毎年7月に会員ら50~60人が約3万球を600㍍ずつ植栽していった。時には、県央振興局農林部の職員らが応援に駆けつける場面も見られた。同道路は大型車両などが頻繁に通るため車線規制を行いながら作業。まだ梅雨が明けない雨の日や、初夏の炎天下の中、熱中症に注意しながら丁寧に球根を植えた。なお、毎年植栽する約3万球もの球根は、会員らがそれぞれ業務の間を縫って採取したものだ。
こうして県内の造園企業27社が一致団結して活動を継続、今年7月19日の植栽を最後に無事故無災害で竣工。両協会は9月19日、竣工を記念して設置した記念碑の除幕式を盛大に執り行った。 ヒガンバナは、毎年9月中旬~下旬に一斉に咲き同道路約7㌔㍍に鮮やかな赤いラインが浮かび上がる。ドライバーや観光客の心を癒す場所、地元イベントなど地域活性化の場所として、県内に新たな名所が誕生した。