理路雑然 /-4-
2014年04月12日(土)
特集記事
理路雑然
毎年新卒者を雇用してきたが、1~2年で辞める者が毎年出てくる。「最近の若い者は我慢することを知らない」―学校の先生にそう言うと厳しい言葉が返ってきた。「寄り添う者がいれば人は辞めないのです」
▼ぐさりときた。社会に入った若者は分からないことばかりで、仕事や将来に不安もあるだろう。はたして我が身も含め、先輩上司は彼らに寄り添ってやっただろうか
▼ある社長の話を聞いた。初任給を渡すとき「この給料は皆さんのご両親に渡して下さい。今回だけでいいから。きっとご両親は涙を流して喜ぶでしょう。仏壇か神棚に上げて立派に育ったことを感謝するでしょう」と言うそうだ。「皆、何言ってんだ?このおっさんという顔しているが、それでいいんです。数十年後に思い出して分かってくれれば」
▼企業は最高の教育機関と言われる。学校を出てきただけの知識は役に立たない。企業の雇う者と雇われる者の関係は、決して労働と対価という単純な関係ではない。ロボットとエネルギーの関係ではない。仕事はすべて意味と価値があるし奥深い。人と人が教え学び、共通の価値を求め、共に一度の人生を高めあう場だ。企業を「海を渡る船」に例える人もいる。舵をとる人、漕ぐ人、食事を準備する人、それぞれが役割を担わなければ船は沈む
▼毎日自分のことで右往左往しているが、先輩・上司なら、たまには人に寄り添うことも思い出そう。ところで、初めて貰った給料をどうしたか覚えてますか?