理路雑然 /-8-
2014年06月07日(土)
特集記事
理路雑然
日銀短観(企業短期経済観測調査)の仕組みを聞いた時はちょっと驚いた。景気判断の根拠となる業況判断指数の出し方についてだ。簡単に言うと、景気がよいと判断した企業の割合から、悪いと判断した企業の割合を引いた数値で、「よい」だけであれば100、「悪い」だけならマイナス100。同数なら0となる。結果プラスであれば景気は上向いていると判断、マイナスなら景気は下向いていることになる。全国の日銀支店長が一堂に会し各地の報告数値を出し、すべてを集計すると、景気の状態を判断できるという訳だ
▼お堅いはずの日銀の景気分析がこんなに非客観的な方法をとっているのは面白い。調査に協力している企業の中身も規模も様々で、答える担当者も適当なのに、それでいいの?と思った。しかし考えてみると「景気」などというものは元々気分的なもので、それも集計を重ねれば数値として判断基準になるのだろう。しかも当っているらしい。飲んだ帰りのタクシーで運転手に「景気はどう?」と訊くのと同じだ
▼経済数値以外にも私たちの周りで見る数値は失礼ながら結構いい加減なものが多い。それはそれでいいが、訳知り顔に数字を振り回す人は注意した方がいい。相手の口を封じ、わが意を通すには数字を使えというのが「議論のテクニック」にあるからだ
▼以前経済学者から聞いた話では、経済学理論はすべて先を見るものでなく、後から説明するためのものとのこと。納得した。