特集記事

理路雑然 /-9-

2014年06月21日(土)

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理路雑然

 建設業でも外国人労働者が注目されてきた。東日本大震災の復興事業や東京オリンピック、全国の公共事業の拡大を受け、技能労働者が不足するためだ。また若年層の入職が少ないこともある 

▼これまでも技能研修制度を利用して研修期間3年の技能を習得する制度はあった。これはあくまで開発途上国への技能移転を目的とした国際貢献の一つだった。海外で工事を行う企業が現地の人を日本で技術研修した後、現地で仕事をさせるということに活用された 

▼今回の議論の方向は「研修者」から「労働者」としての利用に変わっている。しかし原則はそのままで研修期間5年に延長・人数拡大などが国レベルで検討されている。とにかく人が足りないからと言うご都合主義と思わないでもないが 

▼「移民」と「研修制度」は違う。これまで国は外国人の就労については高いハードルがあった。「頭脳」労働者については相当緩和されたが「単純」労働者については厳しかった。理由は様々だろうが、不法残留、国内賃金の低下、社会不安など警戒したからだろう。確かに他国では出稼ぎ労働者が居付いてスラムを作り、住民とのトラブルや犯罪の温床になる事例も問題視された 

▼これまで外国人研修生を使ってきた企業の話では、彼らは若く覚えも早く熱意があるという。現地では3倍ほどの応募があり、基礎研修を受け優秀な者が選ばれてくるからだ。やっと仕事を覚えたのに3年で返すのが惜しいとも聞く。


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