特集記事

理路雑然 /-11-

2014年07月19日(土)

特集記事

理路雑然

 ゼロサムは金融・経済用語として使われる。本来の意味は、損得合計するとゼロになることであり、一方の利益が他方の損失になることを指す。麻雀をやった人は知っている。ゲーム開始時は同じ額の点棒を持ち、勝ち負けがあり、終わったときは勝ち点と負け点の合計は開始時と同じと言うものだ。マーケット(市場)においては、一方が利益を得れば、もう一方は損をするが、全体としてはプラスマイナスゼロになる。全員が儲かることも損することもない。また勝者は少数で、敗者は多数なのが現実だ 

▼このゼロサムの関係性は周りに広く存在する。市場の規制緩和が言われても基本的に全体のパイが大きくなるわけではない。タクシーの台数が増えても利用者数は変わらない。一台あたりの売り上げが下がるだけだ。大店舗が出来ても地区の売り上げ総額が増えるわけではない。小さな商店が潰れるだけだ。競争性が他の地区から購買層を呼び込むこともあるが、その地区のパイを喰っているだけとも言える 

▼もちろん新商品やサービスが新たな商機となることもある。電灯はランプに取って代わった。そんな風に時代は変化してきたのも事実だ。外国にものを売ることも我が国を富ますことになる。しかしこのこともその国から「点棒」を取り上げているとも言える 

▼規制緩和、市場開放、TPPの議論の中で使われる、発展・進歩・改革という聞こえの良い言葉にはそんな裏があることも考える必要がある。点棒の合計が増えるようにしたい。


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