理路雑然 /-15-
2014年09月06日(土)
特集記事
理路雑然
絵を描くとき使われる遠近法は錯覚の原理だ。近くは大きく強く見え、遠いものは小さく弱く見える。同様に自分の専門や関係することは重要に感じ、知識のないことや関係が薄いことは、見えないか些細に感じる
様々な情報が氾濫する今日、皆が同じような注意力と理解力を持っているわけではない。また自分が重要と考える問題は、必ずしも別の人に重要問題ではない。自分が見て軽少な事柄の内に、他人にとって重大なものが含まれている そういう意味で「アンケート」「世論調査」は危険と言える。問題点や議論が整理されていない前にマスコミは調査をやりたがる。それが民意とばかりに数字が踊る。しかし少数でも重要な意見が存在する。利害や人気取りの大多数の意見が歴史を間違わせてきた例は多い
兼好法師は徒然草に「己が境界にあらざるものおば、争うべからず、是非すべからず」と書いている。知識のないことを議論したり良いとか悪いとか言うな、と言うわけだ。知識がないことは慎重になるべきと言い換えてもいい
「話せば分かる」というが、分からない人もたくさんいる。世論が割れたとき「絶対反対」というやつだ。「絶対」を言う人は話しても分かろうとしないし、話そうともしない。もともと「絶対」と言えるのは今すぐ命に関わることがらで、正当防衛みたいなことだけだろう。まして「絶対」をいう政治家などは自らの役目を放棄している。議員は議論をする人の意味なのに。