理路雑然 /-19-
2014年11月01日(土)
特集記事
理路雑然
読み通すことが難しいほど退屈な『東方見聞録』には、11世紀のヴェネツィアの商人マルコポーロが、モンゴル帝国への行き帰り道中の様々な国について見たり聞いたりしたことが記述されている。その中にイスラム教、ユダヤ教、キリスト教、ヒンズー教、仏教(偶像崇拝)が見られる。当然マルコポーロはキリスト教なのでそれ以外の宗教について見下したような表現をしている
すでに当時どの宗教も、その地域が以前から持っていた「宗教以前宗教」(アニミズム)と合体し変容していたようだ。アニミズムはたぶん人類の発生と共にあった。日本で言えば太陽や山など八百万の神を祭る神道につながる。仏教との融合も見られる アニミズムは宗教としての教義や経典がなく自然崇拝・民俗信仰・精霊・神話を基盤に、古くさい慣習や迷信のかたまりと学校では昔教わった。その偏見はマルコポーロと同様だ
アニミズムは自然の摂理を畏れ尊び同化し共に生きようとする点で現在の「自然保護団体」「環境団体」「反原発運動」「ECO」などに通じるものを感じる。アニミズムが新たな装いで復活したと言える。いささか違うのは科学性や合理性を身にまとい哲学的になったことだ。信者は自覚していないだろうが、経済性や個々の欲望・利害も潜んでいる 世界は無神論者が増えているそうだが、新アニミズム信者は確実に増えている。それも人間の欲望を抑える知恵としてとらえれば、古くて新しい宗教なのかも知れない。