特集記事

理路雑然 /-20-

2014年11月15日(土)

特集記事

理路雑然

 耳障りな表現に「可能性は否定できない」というのがある。ニュースキャスターや政治家、学者、不祥事企業の広報担当者がよく使う。私には責任とれませんと予防線を張っているのだろうか。自信がないなら話すなよと言いたくなる。物事は知れば知るほど断定的に言えなくなるが、万分の一の可能性まで考えれば、何事も「可能性は否定できない」になってしまう。

「可能性がある」「可能性大だ」とか「可能性が少ない」なら、結果が違っても話す人のその時の判断と責任感を感じるのだが、この逃げ口上は間違いに厳しい世の中になったせいだろうか 

 統計とか確率というのがある。政府の地震調査委員会が発表した南海トラフにおける巨大地震の発生確率は、マグニチュード8以上は今後10年以内では20%程度、20年以内では40~50%程度、30年以内では60~70%程度、50年以内では90%程度と予測。計算方法は省略(筆者理解不能)。要は「次の大地震発生の切迫性が高まっている」ということだ。参考に、今後30年にあなたに発生する災難の確率は「交通事故死0・2%」「火災死0・24%」「癌で死亡6・8%」と新聞にあった。比較すると、巨大地震発生の確率は桁違いに高い。東日本震災は予測されていた時期と地域で起きた 

 「可能性は否定できない」が天災対策をおろそかにする口実にしてはならない。天気予報は「可能性は否定できない」とは言わない。降雨確率30%なら傘を準備する。


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