理路雑然 /-30-
2015年04月04日(土)
特集記事
理路雑然
毎年のことだが、国の予算編成において財務省は公債残高(普通国債)を、国民一人当り638万円の借金と説明した。借金とされる公債は大きく特例公債(赤字国債)と4条公債(建設国債)に分類される。東日本大震災への復興債もあるが全体から見ると小さい
そもそも論でいうと、建設国債は将来を見通す国土形成のため認められていた正当な国債。赤字国債は社会保障費の増大に対し税収不足を賄うため作った本来認められていなかった苦肉の「特例」公債だ。それに国債は政府の借金であるが国民にとっては債権の財産だ
家庭の収支に例えるのは無理があるが、建設国債は家族の住む家を作ることに例えられる。家・土地の借金返済ローンは、見方によっては財産形成だ。売れば金になるし稼ぐための道具。まさか道路や橋を売り払うことは出来ないが、意味合いとしては「財産」と「投資」だ。一方赤字国債は医療費や生活費。基本的に「消費」だ。借金しての消費で見返りはない
建設国債残高の推移を見ると実は大きく変わっていない。元本返済までは行かないが利子は払っているという姿だ。特例国債の方は返すあてなく借金の元本が増え続けている
赤字財政は公共事業(建設国債)のせいだとするマスコミや世論があったが見当違いだ。無駄?をなくせばと言うのも嘘。政治が増税や社会保障費への対応を先送りしてきたツケが原因。財務省が国民の借金と言い続けるのは、今後の増税への布石だ。