特集記事

理路雑然 /-34-

2015年05月30日(土)

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理路雑然

 四月に映画「風に立つライオン」を見た。舞台はアフリカの紛争地域、危険な場所だ。主人公は大学医学部から派遣された医者。施設に着任早々、血まみれの兵士や少年兵がトラックで次々と担ぎ込まれてくる。応急手当や血まみれの手や足を切断手術したりと生々しい。少年達は薬を飲まされ兵士として使われた。子供まで使う戦争の残酷さ。体の傷は癒えても埋め込まれた憎悪と殺意の心は残る。医師はその心の傷にも向かい合う。兵士は傷が癒えると再び戦場に戻る無力感。短期派遣だった医師はその地に居続け活動する決意をする。

最後は彼も襲撃を受け行方不明となるのだが 映画鑑賞一週間後、国境なき医師団日本の黑﨑伸子さんの話を聞く機会があった。

国境なき医師団はユニセフや赤十字などと同じように、世界各地でエボラ熱などの感染症、地震や台風被害、難民そして紛争地域での医療活動をしている。映画と同じような危険な場所も多い。活動の苦労や、国の利害から離れた活動を行うためその補助金に依存しないこと、TPPの知的財産保護期間延長が薬の購入費用に大きく影響することなど聞いた 

知人の大学工学部教授がよくケニヤに行く。何のためかと聞くと答えは「水」。開発途上国では最重要のインフラだ。確かに感染症予防や医療も清潔な水があってのものだ。我々のように水道の蛇口をひねればきれいな水が出ることが当たり前ではない世界も多い。

安全も平和も、日本は異常なほど恵まれた国なのだ。


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