理路雑然 /-46-
2015年11月07日(土)
特集記事
理路雑然
中東やアフリカの紛争、世界のテロが増えていると感じる。ところが実は歴史上、今が一番平和なのだそうだ。人類の歴史は大きく見ると暴力を減らし続けた歴史だという
専門とする学者がいて、事細かにデータを集め分析している。その結果によると、確かに暴力(戦争・殺人・拷問死刑・粛正・テロ・家庭内暴力など)の客観的数値は減り続けている
なぜか。人は本性として暴力への衝動と快感を持つ。獲物を捕らえ、生き抜くために争うことから備わった。しかし社会が成立し、本性を押さえ込む理性と法律や宗教が発達した。つまり力に依らない秩序が必要になり文明化した
昔は簡単に人は殺し合った。世界も日本も、歴史を裏読みすると暴力の連続だ。英雄とされる人もいわば人殺しの親玉だ
戦争中の捕虜収容所の話を読んだ。その中で収容所を支配したのは、軍隊での高等士官や政治家、金持ちではなく、入墨者、ヤクザだ。軍隊では二等兵でも、序列や金が通用しなくなれば腕力で人を支配した。人が持つ暴力の本性は常に潜み、油断するとすぐに息を吹き返す
スポーツの多くは元々殺し合い・戦争がゲーム化したもの。格闘技・武道と言われるものは分かりやすい。サッカーでさえ、ボールではなく切った首を蹴っていたと聞いた。暴力の匂いを嫌う超理性的で極端な人は、そんな暴力的スポーツやゲームは、残酷だからなくせと主張しているそうだ。いやそれは寂しいと、暴力の快感本能が言っている。