理路雑然 /-58-
2016年05月07日(土)
特集記事
理路雑然
犬は飼い主に協力しない人を嫌う。京都大学院のチームが実験で明らかにしたと新聞で読んだ。犬が餌を貰う時、飼い主と親しい人の方を、そうでない人より選ぶ傾向がある。我々が考える以上に、犬は飼い主の人間関係を表情や行動で観察している。餌に釣られているだけではない。犬に好かれるには、飼い主と親しくなる必要がある。実験では人の乳幼児や猿にもこの傾向が強くあるという。感情移転と価値の共有だ
犬でなくとも我々も、親しい人が嫌う人を知らず知らず嫌いになるし、逆もある。好き嫌いは伝染する。そのようにして世間の派閥は出来る。利害や思想信条、義理人情もあるが、突き詰めていくと好き嫌いが根底にある また自分に好意的な人には好意を感じ、敵意を持つ人を嫌う。丁寧な態度で接してもすぐにバレる
国と国の関係も似たり寄ったり。世界を見回すと隣国で仲の良い国は少ない。領土問題、宗教、民族、経済利害、過去の紛争の恨みなど近親憎悪とも言える。日本が抱える、中国・ロシア・韓国との摩擦の類は世界には山ほどある普通の姿だ。それでも何とかうまくやるのが大人の世界
好意的な人や国を嫌うことは少ない。敵意を感じるとこちらも好きになれない。しかしどっちが始めるかが難しい。先ずは相手の良いことを素直に褒めることから始めれば良いのだが、平気で核兵器開発をやる隣人をどうすればいい?。話せば分かるというのは脳天気。諦めで済ませる訳にはいかない。どうすりゃいいか犬に聞いてみるか。