理路雑然 /-63-
2016年07月16日(土)
特集記事
理路雑然
英国の首相だったウィンストン・チャーチルの言葉に「民主主義は最悪の政治形態と言える。ただし、これまでに試されたすべての形態を別にすればの話であるが」というのがある。よく引用されるのでご存じの方も多いだろう
一票の格差をめぐって最高裁の違憲、違憲状態の判決が続いている。格差解消は急務だが、議員は自らの地位存続と党利党略でなかなか話は進まない
そもそもだが、議会制民主主義の議会の決議手法である多数決は、国民の意思を代表する一人の議員が背負う票の集約であると理解できる。その票の重みは出来るだけ差がないことが望ましい。そうでなければ重みが0.5票の議員が発生する
実は一票の格差問題は議員の数を増やせば解決する。しかし議員定数削減などと調子の良い各党の公約がそれを阻む。そして多くの国民はなぜか議員数を減らした方がいいと思っている。そんな政治家軽視を、政治資金の不祥事や国会の無意味な議論が助長している。国民は政治家の多忙さや苦労を知らないし、マスコミも伝えない
議員の選出単位を県や自治体にこだわる民意も問題を難しくしている。一票の格差があってもいいという意見も根強い。人口比だけでなく、県の面積や事情も参酌すべきと言うわけだ
ただでさえ東京圏と地方との格差は広がっている。地方議員の数が減れば地方の声が弱くなる
世界を見渡すと民主主義と名乗る制度は様々だ。日本をどのような国にしていくのか、日本の民主主義への根本的な議論が深まって欲しい。