特集記事

理路雑然 /-64-

2016年07月30日(土)

特集記事

理路雑然

  九州のある県での豪雨災害時の話だ。建設業全社が、決壊した河川の緊急復旧に取り組んでいた。新聞に工事の記事と写真が載った。ところが重機に書かれていた会社の名前はモザイクがかけられ消されていた。県の建設業協会の会長は怒り心頭。このことで危険も顧みず戦っている企業、作業員と家族がどれほど傷ついたか。それまで突貫工事を続けていた会員企業に作業引き上げを指令し、新聞社に抗議した。驚いた県は知事が新聞社に反省を促し、新聞社は謝罪した 

  

 このような事例は東日本大震災の報道にも多く見られた。自衛隊は大きく取り上げられるが、建設業は無視される。実際は作業の大部分は建設業なのにだ。危険な作業が多い仕事だが、本人達には強い自負心もある。マスコミ一般のレベルはこんなものと言えばそれまでだが残念な事だ  

 

 地域と密着して共通の価値観で記事を作ろうとするマスコミもある。特に若い記者達は、先入観が染みこんだ先輩達と違う価値を求めている。嬉しいことだ。どんな仕事も社会の役に立っている。先入観で軽視したり、過度にたてまつる姿勢は改める必要がある  


 「学者にしか分からないことがあるが、学者には分からないことがある」という例えは「政治家にしか分からないことがあるが、政治家には分からないことがある」とも言えるし、「建設業にしか分からないことがあるが、建設業には分からないことがある」とも言える。我々も被害者意識を脱し、広く社会とコミュニケーションを図らなければならない。


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