特集記事

理路雑然 /-67-

2016年09月10日(土)

特集記事

理路雑然

大正期は関東大震災など大きな自然災害が多かった。物理学者寺田寅彦の随筆の中にたびたび登場する。文章の中で気になる言葉があった。外国の侵略は国が災害の混乱時に狙われるはずだとある。火事場泥棒だ。昨今の物理学者には見られない見識だ  

尖閣諸島周辺に外国の漁船や艦船が我が物顔に押し寄せているが、未だ上陸占拠はない。しかしそれが実行されるとすれば、きっと国内の自然災害で政治、行政、国民が混乱し、防衛が手薄になった時だ。オリンピックに浮かれていたり、ゴジラが東京に現れた時も危ない  

しっかりとした防災と災害対応は実は国防でもある。その公共事業予算を、景気対策としか説明しない政治勢力は「どうしたもんじゃろのう」  

3.11東日本震災の時アメリカが行った「トモダチ作戦」。迅速な災害救助・救援の実施は、他国の侵略行動への牽制でもあった。マスコミでは人道支援の美談とされているが、原子力空母を含む4軍の強力で素早い動きは中露にとっては脅威だったろう。アメリカの出動理由は、その10年前アメリカ同時多発テロの際、日本の救助隊が駆けつけてくれた事を挙げたが、冷徹な政治と軍事の世界に甘い話ばかりはない  

サラリーマン川柳をパクると「喜ぶな政治と野球にゃ裏がある」。耳障りのいい言葉の裏に思惑が隠れ、9回裏逆転サヨナラがある。裏は悪いことではなく、それを予測し準備することが必要だ。これを国民の民度ともいう。民度が高くなければ民主主義は成り立たず衆愚政治となる。


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