理路雑然 /-82-
2017年04月22日(土)
特集記事
理路雑然
物事は未完成な状態から完成に向かって進むのが自然であり、我々はそう努力していると信じてきた。生活であれ仕事であれ、政治や世界は昨日より今日、今日より明日に良い方向に向かい、それが正しいと 「エントロピー増大の法則」というのがある。エントロピーとは「無秩序の度合いを示す物理量」のこと。自然界は常に秩序ある状態から無秩序な状態に進む。つまりエントロピーは小さい状態から大きい状態になる。もともとは熱力学の用語なので正確な意味は違うが、通俗的な解釈と説明でよく使われ、事が段々ダメになる現実をよく説明できる
こちらの能力不足で例え話でしか説明できない。「油が燃えると熱になり拡散し、熱から油には戻らない」「コーヒーに入れたミルクは溶けて混じり合うが、元のミルクにはならない」「組織は肥大化し分裂しいずれ消滅する」「問題解決のための法律や制度は別の問題をもっと多く生み出す」「一万円札は千円になりいつか消え去る」?
種が芽吹き生長し花を咲かせ実らせるなど生命現象は当てはまらないという疑問があるが、その間の日光消費、栄養・水の供給、葉が落ち枯れ果てることも含め考え合わせると、法則は成り立つ。正確には法則は「閉じた系(システム)で、エントロピーは必ず増大する」となる。「閉じた系」は例えば出入りできない空間と言えば分かりやすい 太陽のエネルギーを受ける地球は「閉じた系」ではない。「閉じた系」にしないことが、少なくともエントロピーの増大を遅らせる。