特集記事

理路雑然 /-87-

2017年07月08日(土)

特集記事

理路雑然

建設工事は、10人で10日かかる作業を、100人でやれば1日で済むとはならない  

先刻「労働時間」のことに触れたが、時間外労働規制が建設業にも実施される。土曜閉所も試行され始めた。これまで三六協定により、時間外労働が事実上無制限だったが、猶予期間5年の後「罰則付き上限規制」の対象となる。それまでに建設業の「働き方改革」が必要だ  

一般的な職場での働き方と建設業の違いは多い。作業が季節や天気に左右されること。所要日程ではなく、工事金額や年度内完成とかによって工期(納期)が設定されること。生コン強度などを考えた施工サイクル(養生)に制約されること。専門業者の組み合わせは前仕事と後仕事があり、同時・同一現場での施工が難しい。現地状況に合わせた定形外業務で、不測の事態もある。他の管理者の埋設物などとの調整、近隣住民の要望もある。膨大な書類作成もある。工期を伸ばせばその分会社の経費負担が増える。日給月給制では、規制によって働く人の給与総額が減る。能力給の採用は、国の賃金調査(設計労務賃金)と整合できていない。就労環境を良くしなければ入職者が減り、人員増強は厳しいことなどと問題は山ほどある  

「工事請負」という契約の見直しが必要だ。国も単に「罰則付き上限規制」で押さえ込むことは出来ない  

我々も人手に頼らない施工や、綿密なフロー図による工程管理とリスク管理が必要だ。下請さんの尻を叩けばいいと考えるのは甘い。共通の課題だ。覚悟と柔軟な発想が求められる。


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