理路雑然 /-89-
2017年08月12日(土)
特集記事
理路雑然
「杞憂」(きゆう)という言葉がある。昔の中国の「杞」という国に、天が崩れ落ちたらどうしようと心配して夜も眠れず、食べ物も喉を通らないという人がいたことからできた故事成語。無用の心配は文字通り、無用でするべきではないという意味だ しかし現在その杞憂を笑えなくなってきた。天の底が抜けて豪雨が襲ったり、地面が揺れたり、果てはミサイルが空から降ってきそうと、無用の心配ではなくなっている
豪雨の原因に地球温暖化があるらしい。このことは単に気温が数度上がるだけと済まされない。地球の環境と生態系が大きく壊れてしまうのだ。地球という星には130万種の生物がいるそうだ。細菌まで入れると更に膨大な数になる。これらは相互に関わりあっている。人類も例外ではない。しかし人間は直接身に関わることしか認識できないし関心も薄い。実は目に見えない微生物の働きがなければ、あっという間に我々は飢え死にする。そして地球温暖化の原因は人類の活動にあることは明らかだ。どうやら地球にとって、人類とその活動は悪性の癌増殖と言える
とは言え、我々は活動を止めるわけにはいかない。地球破壊と人類滅亡の道をまっしぐらに進んでいる。せいぜい出来るのはそのスピードを落とすことと被害の修復と予防だ
今年もまた豪雨で多くの被害があった。被災者が、自衛隊や建設業の活動を心強くありがたかったと言うのを聞くと、建設業は意味のある仕事だと改めて思う。「備えあれば憂いなし」という故事成語もありますから。