特集記事

理路雑然 /-90-

2017年08月26日(土)

特集記事

理路雑然

ヒアリが危険と問題になっている。ヒアリは英語でFire Ant、つまり火の蟻だ。海外からのコンテナにくっついて来る。毒針に刺されると相当辛いそうだ。南米からアメリカに広がり、オーストラリアやアジア各地で拡散し、数年前から問題になっていた。この難民・移民蟻に対して国内の排斥主義・国粋主義の蟻も縄張りを巡り戦っている。しかしその適応力や繁殖力は脅威だ。無闇に殺虫剤を使うと日本蟻も殺してしまい逆効果になる 

アメリカでは、ヒアリ退治にゾンビ蝿と言われる、ヒアリに卵を産み付け殺してしまう蝿(生物農薬)が利用されている。しかし、そもそもヒアリやダニ、蚊にしても単なる昆虫で、良いも悪いも人間様の都合に過ぎない。生態系、食物連鎖に活躍もしている。地球生物の種類の75%は昆虫だと『昆虫』という本で読んだ。生物進化の歴史も断然古い。地球は元々、そして今も昆虫の星だ。世界中の人間と蟻の総重量はほぼ同じだという。昆虫全体だと比較にもならない 

ゾンビ蝿はヒアリを殺し尽くすと子孫を残せず滅亡する。自然界の節理だ。だから完全に滅ぼすことはない。餌を完全に食い尽くしてきたのは人類だ。自然史上、大型のほ乳類や鳥類の絶滅はその土地への人類の進出と重なる。喰うものがなくなれば滅びる 

この道理は人の社会にも教訓になる。頭の良い奴と悪い奴、力の強い者と弱い者、大きな会社と小さな会社、大都市と地方などなど。双方の良さと悪さを認め補い合っていくのが、お互い生きていく理(ことわり)なのだ。


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