理路雑然 /-91-
2017年09月16日(土)
特集記事
理路雑然
以前オーストラリア、ニュージーランドに行ったとき面白い地図を買った。普通我々が見る地図と天地逆になっていた。南半球が上で北半球が下にある。お土産品屋のジョークみたいなものだが不思議な感覚だった
富山県では平成6年から環日本海・東アジア諸国図を発行している(300円)。東アジアが、反時計回り90度、つまり中国が下で太平洋と日本が上に位置する地図だ。この地図を見ると、中国が、日本、沖縄列島、尖閣、台湾、フィリピンをどう感じるか分かるような気がする。中国にとって、太平洋、アメリカに面し、そのバリケードのようにそれらは圧迫感を憶え目障りなのだ 佐藤優の『地政学で読む世界史』を見ると国際関係の今を理解できるような気がする。時代を経ても変化の少ない地理は政治において重要な要素だ。地政学は単に国と国との関係だけでなく、国の有り様を理解するのに役に立つ。政治や経済、国民の意識、価値観、宗教、文化、歴史などあらゆることが、その国の位置や海流、山脈、気候、火山、河川などを基本として成り立っている
同様に国内においても地政学的視点は役に立つ。大石久和先生が国土学として説明する視点だ。自分自身は何にもとらわれず、客観的、合理的、科学的に考えているつもりでも、置かれている基礎的な要素から逃れる事は出来ない。いや逆にそうであることを自覚し、他国や人を理解すべきだ。卓上理論でグローバリズム(世界標準)を振りかざし、違いを押さえ込むのは無理がある。