理路雑然 /-94-
2017年10月21日(土)
特集記事
理路雑然
フェアトレードと言う言葉がある。先進国が発展途上国の産品を安く買いたたくことで起きる自然破壊や貧困の常態化を避けるための制度だ。途上国への援助や寄付とは違い、生産者の自立を支援することが目的だ。適正な価格、公平な取引条件、安定した購入、環境や労働条件にも配慮する。このことを通じ生産者の購買力を高め、両国の輸出入関係を良好にする。原材料だけでなく製品を対象とすれば産業の発展にも繋がる
ただし、購入価格は高くなる。しかし長期的に見れば資本主義経済のマイナス面を補い、持続的関係と環境破壊に役に立つという考えだ。このような広く長期的な相手の身になった考えは、いわゆるグローバリズムを語る人、新自由主義者にはない。競争相手がいるからだ。競争が合理的で効率的であり、豊かさをもたらすと考えている
大手スーパーが食品価格を従来より10%引き下げると発表した。スーパー同士の価格競争が激しくなり、地元スーパーは淘汰される。人々の平均所得が下がり、より安いものを望む。安くなることは良いことに見えるが、作る側に影響は及ぶ。出荷価格を安く買いたたかれる。利益も落ち給与にも反映する。国内経済の縮小であるデフレの元凶の一つだ。価格競争で店の売り上げ増になっても、社会全体の消費量が増えるわけではない。価格が下がることと所得が低くなることは実は連動している。社会全体のことを考えると価格競争はチェックされ制限される必要がある。フェアトレードは身近にも求められる。