特集記事

理路雑然 /-102-

2018年02月09日(金)

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理路雑然

 道路や法面などの工事の計画が進まない理由に土地買収に手間取ることが一因にある。所有者不明とは、登記上の所有者はすでに亡くなっているが、資産価値がなく固定資産税払うのが嫌で名義はそのままとか、生存や居場所が不明、相続が子孫に繰り返され権利者が分散し世界中に散らばっているとか複雑だ。役所の用地課の苦労が察せられる 

震災の復興事業でもこのことが計画変更や遅延を招いた。国交省の調査では所有者登記の年が50年以上前のものが全国の2割、所有者の所在不明は約2割だ。なんとこの面積は長崎県の9倍、九州全体に相当し、今後も増える見込み。問題の根底には土地に関する管理が、不動産登記簿、国土利用計画法による売買届出、固定資産課税台帳、農地基本台帳に拠っているが、それらは目的別であり土地を一元的に把握できないことにある。また相続登記は義務ではないことも問題。固定資産税の納付通知は多くが戻ってくる 

法律はともかく我が国は、土地に関する私的所有の権利が強く、公的利用より優先されてきた。「先祖伝来の土地、絶対反対」とか、一坪地主や反社会的勢力の横車の余地を残している。公的利用への国民の意識変更が必要だ 

地方は人口減少が進んでいる。耕作放棄地や空き屋、所有者不明の土地ばかりでは土地活用は出来ない。長年持ち主不明、固定資産税も未納付の土地は国が収用する期限法も一案。それらの土地がまとまれば利用法があるかも。人口減少時代に即した土地制度の見直しが必要であり、現在利用権設定などの法整備が進められている。


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