理路雑然 /-116-
2018年08月18日(土)
特集記事
理路雑然
暑くて熱い甲子園球場。今年は夏の高校野球第100回記念大会
金沢市にいる従兄弟谷村誠一郎(56)は、父親も野球選手、のち公式審判を務めた影響か、石川星稜高校の野球部に入った。しかし1年生の時右ヒジを傷め、選手としてプレーすることはなかった。辛かっただろう。それでもよほど野球が好きだったとみえ、名伯楽と言われた山下監督を支え、ノッカー、マネージャー、スコアラーとしてチームをサポートし続けた。星稜の松井秀喜が登場するのはその10年以上後になる
ベースボールM社「名勝負ランキングベスト100」の第一位、1978年夏、箕島×星稜の熱闘は今も多くの人の記憶に残る。延長18回、箕島の本塁打で決着したが、その時もベンチ入りできず、スコアラーとしてネット裏席でハラハラしながら戦況を見守った
高校野球で使われる言葉を連ねると、「青春」「痺れる」「息が詰まる」「武者震い」「凛々しい」「ゾクゾク」「汗と涙」「歓声の地響」「祈る思い」「ワクワク」「悔し涙」「友情」「一体感」 勝者よりも敗者の方が、人として貴重なものを学ぶとよく言われる。一生を支える何かを得られるのだ。高校野球だけではない。ほかのスポーツもNHKのど自慢鐘3つも同様だ。極限の戦いは勝者も敗者も乗り越える
彼は今も野球と関わり、その世話役を続けている。今回朝日新聞から甲子園ゲスト席に招待されたそうだ。朝日新聞は良いこともする。彼の甲子園はまだ終わらない。