特集記事

理路雑然 /-118-

2018年09月22日(土)

特集記事

理路雑然

人は他人の噂を面白がるものだが、誰にでも隠しておきたいことの一つや二つはある  

孔子は「あばきて以て直と為す者をにくむ」と言った。人の隠していることを公表し、正しいことをしたと得意になっているのは卑しいことだと。それをさらしだし、下品な記事にして商売にしているのが多くの週刊誌やテレビのワイドショーだ。犯罪の類いは別として、プライベートなことまで根ほり葉ほり、あれこれさかのぼって声だかに話題にする。卑しいことで聞き苦しい  

以前あるテレビ番組のキャスターが、有名な芸能人の不倫問題を話題にした。するとゲストのタレントがそのキャスター自身の不倫疑惑報道を持ち出した。間髪入れずキャスターは「私のことはさて置き・・・」と全く動じない鉄面皮。呆れた  

例えば道徳的な事を咎めるとき、自分にその資格があるのかと(少しは)思うのが普通だ。自分のことは棚に上げ、厚かましくもの言うことは恥ずかしいと感じる。「恥ずかしい」とか「卑しい」「卑怯」という言葉は、今や死語になっているのだろうか。法律にはない言葉だ。いや藤原正彦氏の言うように、法律にないからこそ大切なのだと思いたい  

人の世の常だろうが、雑多な情報があふれ増大する中、恥知らずの世界が当たり前になっていくのは悲しい。メディアが多様化し、フィルターがないままウケ狙いや悪意の情報が拡散している。発信者が匿名や偽名、なりすましはまず怪しいとご用心。


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