特集記事

理路雑然 /-130-

2019年03月23日(土)

特集記事

理路雑然

「天災は忘れた頃にやってくる」と書いたのは物理学者の寺田寅彦。しかし昨今は「忘れる前にやってくる」  

昨年は7月の豪雨災害に続き、夏は多くの死者をだす猛暑、さらに9月には台風21号被害、北海道の地震と続いた。我が国は戦乱はないが、自然が過酷で災害が多い。火山噴火、地震、津波、台風、河川氾濫、豪雨、猛暑、豪雪、崖崩れ、大潮、干ばつなどきりがない。多くは国土の地球規模での成り立ちや位置に起因する。人の力でこれを変えることは出来ない  

だが被害を抑え、命と財産を守ることは出来る。土木建設業の多くは、その備えに関するものだ。我々は仕事への自負心を持たなくてはならない  

東日本大震災の後、「国土強靱化」が叫ばれ、土木学会では南海トラフ巨大地震と首都直下地震の発生確率と経済的被害の推計を発表した。国が傾くほどの被害だ。また満潮、低気圧、強風による大潮被害にも警鐘を鳴らしている。台風21号ではたまたま数時間の偶然で大阪地区の大浸水を逃れた。運が良かったでは済まされない  

江戸期までの日本は自然災害や飢饉で多くの人が死んだ。藩や幕府の救援が十分でなかったこともあるが、当時は今の人口の三分の一の時代。記録にある被災者を三倍に換算すると恐ろしい規模だった。そんな危険性を我が国は持っている  

昔の人は「自分の難渋は他人の難渋。他人の難渋はそのまま自分の難渋」と書き残している。そんな精神の政治にしよう。そんな思いで頑張ろう。


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