特集記事

理路雑然 /-134-

2019年05月25日(土)

特集記事

理路雑然

3ヶ月前に行った会津にまた行った。同じように白虎隊の飯盛山、山本(新島)八重が籠城し戦った鶴ヶ城を巡った。少し訛ったガイド嬢が良かった  

地方に行くといつもそこの地元新聞を見ることにしている。佐賀に行ったときは「明治維新150年」だったが、福島、会津では完璧に「戊辰150年」となっている。官軍、政府軍も「西軍」と表す。150年を経ても、戊辰は悲惨な屈辱の歴史であり、また誇りでもあると感じる。朝敵・賊軍の汚名を着せられ殉死した藩士らを顕彰する催しも新聞に載っていた  

ホテルロビーには、文化庁の安積疎水のパンフが置いてあった。安積疎水は琵琶湖疎水、那須疎水とともに日本三大疎水の一つ。土木史の誇りだ。福島県北西の会津地方は、近くにある猪苗代湖からの水に恵まれていた。ところが奥羽山脈を挟み、東側にある安積原野は水が乏しい荒れ野。そこで、猪苗代湖からの疎水が計画された。明治政府は戊辰戦争で荒廃した東北の復興・開拓と、没落する士族を入植させる「殖産興業」を国家目標とした。郡山はその地の東に発展した  

この事業の功労者が中條正恒。政府の推進者代表が、かの「憎き薩摩」の大久保利通。福島の人たちは心理的には複雑だったかも  

延長130㎞、総工費約41万円(現在貨幣価値450億円)を3年で完成させた。その恵みは米の収穫量を10倍以上に伸ばした。更に明治32年には水力発電事業も始まった。とパンフにある  各地で、土木の偉業を知ることは嬉しい。


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