理路雑然 /-140-
2019年09月07日(土)
特集記事
理路雑然
人は欲のかたまりだが、その欲求には優先順位があるそうだ。学者の言葉で「欲求段階説」という
先ずは食事と睡眠、排泄、性欲の「生理的欲求」。これは当然だ。なければ死んでしまう。次は「安全の欲求」、備わった本能だ。金銭欲も。身は守らなくてはならない
最後に社会での自分の居場所を得たい、皆から認められたいという「承認の欲求」や「自己実現欲求」がある。これらの欲求が段階的に生じる
承認の欲求というのは想像以上に強い。正当に認められていないという不満や苦労が評価されていないというのもそうだ。名誉や社会的地位も。承認の欲求は複雑だ
「ペンは剣よりも強し」とは言論の力は、武力よりも大きな力を持つという意味でよく使われるが、「テレビはペンよりも強し」「ネットはテレビより強し」の時代になった
スマホに送られてくるインスタ映えの画像が流行るのも承認の欲求。「いいね!」が多いことは発信者の承認欲求。単に受け狙いのものや非常識なもの、匿名の過激な発言も歪んだ自己主張の欲求だ。テレビのお笑い番組での見当外れの解答やしらける駄洒落はつとめだからいいとして、見ている側にもそんな傾向がはびこると国民総白痴化になる
まともな考えとアホな声の境がなくなり、面白いか面白くないかだけになってしまう。刹那的で直情、乱暴な声が地道で冷静な意見を葬り去る。今世間も政治もそんな怖さが広がっている
「殿!お気を確かに!」