特集記事

理路雑然 /-150-

2020年02月08日(土)

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理路雑然

落語の本題に入る前の話を枕(まくら)という。古典落語は話の筋は同じなので、枕が落語家の個性を引き立てる。柳家小三治の落語を聴いたことがあるが、いつになったら演目が始まるのか不安になるほど枕が長かった  

短歌などには枕詞(まくらことば)がある。古典の授業で教わった、あしひきの・・山、ひさかたの・・光、あおによし・・奈良などの装飾的な約束語だ  

まくらが長くなったが、長崎駅近くのJR在来線の高架工事が完成間近だ。令和元年度内には仮設線から新線に切り替わる。その工事を線路そばの建物の上から見学した。木製でない色の違う枕木が2種類見えた  

我が社は長崎電鉄の軌道工事をやってきたので興味がある。電車軌道では木製枕木の下は砕石が敷かれ、犬釘で留めたレールの間は御影の板石で覆う。近年は枕木と基礎を一体化したコンクリート製連接ブロックも交差点で使われる  

もともと枕木はマツとかブナの木を防腐処理したもの。耐用年数は10年から20年。木製の他にもPCコンクリート製、ガラス繊維製、プラスチック製があり耐用年数は50年と長いが金属製は短い。色違いの枕木はそのどれかだったのだろう  

防腐処理した古い枕木は趣があり、ガーデニングに好評だ。我が家の狭い庭にも数本敷いている  

土木・建築の仕事は注意して見ると面白い。だから子供が熱心に見入っていたり、手際の良さに感心する。建設業はそんな興味深く魅力ある仕事と自覚しよう  

落語のはじめが枕なら、終わりの「落ち」は膝枕(ひざまくら)。


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