特集記事

理路雑然 /-157-

2020年05月23日(土)

特集記事

理路雑然

以前腕時計が趣味だった。古い機械式の時計が好きで集めた。お眼鏡はデザイン、顔(文字盤)がいいこと、安いこと、ブランド品でないこと。自分の目利きを信じている。二流メーカーは個性の強いものが多い。いささか狂っても気にしない。手巻き式はねじを巻く感触がいい。クォーツ時計は電池代をケチって少ない 時計には物語が大切だ。ガラクタ市で段ボールの中から選んだとか、オークションで競り合ったとか。すでに消え去ったメーカー、スイスや日本製でなく、ドイツ、イギリス、アメリカなども癖があって面白い 

父の遺品の金時計は、機械も文字盤も錆び付いていた。腕の確かな小さな時計屋に持ち込み生き返らせた。これが一番大切な時計だ 最近カシオのGショックに惚れ、安いのを一つ買った。なかなかいい。赤いやつも欲しいとアマゾンでいろいろ見ていたら気がついた。翌日その次の日、ニュース画面の右側にGショックの広告が表れた。しかも赤いデザインのものが次々と。さらに広告はオークション出品や中古品まで広がる。敵はこちらの好みと懐具合を知っている。余計なお世話だが便利でもある 

GAFAの個人情報を利用した市場独占が危険視されてきた。おそらく、彼らは本人より俺を知っている。便利さと無料のサービスを代償に個人情報を売り渡しているのだ。メーカーや商店、私たちの取引の上澄みを吸って膨れあがり、いずれ売り手買い手、あれもこれも私たちを支配することになるのは目に見えている。さあ、どうする?


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