特集記事

理路雑然 /-160-

2020年07月11日(土)

特集記事

理路雑然

鯉料理をご馳走になったことがある。佐賀の小城市龍水園。鯉というと赤い錦鯉がつい頭に浮かび、それまで敬遠していた。だまされたと思って、とすすめられ、恐るおそる鯉の洗いを口にしてみた。あれ?、臭みはない、食感よし、唐辛子が効いた酢味噌タレ、「旨い、いいねぇ」。佐賀の酒ともよく合う  

部屋の壁に掛けてあった「鯉の瀧上り」は昔から掛け軸などの画題だ。その由来は中国の故事に拠るそうだ。龍門という険しい瀧を上り切った鯉は、天まで昇り龍になる。龍門を上り切ることは成功への第一関門、「登龍門」(とうりゅうもん)といわれる  

コロナウイルス禍で高校野球や高総体が中止になった。練習に明け暮れてきた生徒の辛さ、思いやる家族、OBも涙を流す姿をあちこちで見た。テニスやラグビーなどいろいろなクラブ活動も同様だ。高校の時、高体連で日本一(?)目指して走り跳んでいたのでよくわかる。中止になった代替の試合が進められているのは、せめてもの希望、一生の思い出になって欲しい  

ところで、地方大会や甲子園のプレーは、プロ野球、大学のスカウトたちが有能な選手を見出す機会。そういう意味では龍を目指すための第一関門、「登龍門」になるはずだった  近年は滝や堰、ダムの脇に魚道が作られている。産卵のため川魚が遡上に使う。龍になろうと志す鯉が、そんなもの使いズルすれば絵にならない  

ともあれ、鯉はその時以来食べる機会がなかった。鯉こくは苦手だが、鯉の洗いと佐賀の美味しい酒、デザートは小城羊羹でご一緒しませんか?


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