特集記事

理路雑然 /-161-

2020年07月25日(土)

特集記事

理路雑然

会社に入社した時、すぐに印鑑(ハンコ)が必要になった。三文判で済ませていたが、登記のための実印が必要になりハンコ屋で作った。安いツゲ材にした。今も持っている。ツゲは、象牙や水牛、石などの印材と比べ、机から転がり落ちても割れないのがいい  

ハンコは中国から渡ってきた文化。国宝の漢倭奴國王の金印も残る。今も我が国の文化、社会活動に欠かせない。預金通帳(カードもあるが)、役所に出す書類に必要だ。宅配便受け取りにもハンコかサイン  

そのハンコが現在電子印鑑に、その地位が脅かされているらしい。IT化、テレワーク、デジタル化の流れが後押ししている。いずれハンコは絶対必要なものではなくなりそうだ  

ではあっても、ハンコは魅力的、大好きだ。昔も今も、絵や書にある印鑑は、何かお墨付き、本物、保証を表し重みを感じる  事務所で回覧される稟議書に連なるハンコは「一応見ましたよ」くらいで、トップの決済しか意味がない。以前、後から「あの件は反対だった」とある役員が言うので、ハンコ突いてありましたと言うと、「よく見ろ、逆さまに押していた」と言われたのには驚いた  

ハンコでも、「太鼓判押す」とは、間違いないと保証する言葉。太鼓のようにデカいハンコを押すことから来ているそうだ。人物、品質、意味が絶対にいいと強調する表現。「折り紙を付ける」も同じように使われる。「折り紙」とは鑑定書のこと。悪い評判の「札つき」とは随分違う  

「太鼓判」「折り紙」、そんな風に使ってみたいし、言われたいものだ。


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