特集記事

理路雑然 /-167-

2020年11月07日(土)

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理路雑然

東京出張のとき、空いた時間を利用して美術館や博物館に出かける。今年1月、東京国立博物館「出雲と大和」展に行った  

会場に入るとすぐに出雲大社の模型があった。今の社殿ではなく十三世紀頃のもの。不格好なくらいの形状で、実際の高さは48㍍になる巨大神殿。これは17階建てのビルに相当する。現在の社殿は高さ24㍍なのでその倍、上る階段は長さ100㍍。伝承されてきた大きさではあるが、あまりの規模に信用されていなかった。ところが20年程前、3本の木を束ねた直径3㍍の柱が発掘され実在が確証された。ただし、木造高層は弱くて何度も壊れ、造り替えられ江戸期に今の姿になった   

島根県の出雲はどうやら日本の歴史上途方もないところだ。展では古代出雲の宝という宝が全て展示されていた。紀元前二世紀から後一世紀、弥生時代とされる頃の品々だ。まず圧倒的な数の青銅器が出土している。銅剣、銅鐸(たく)、銅矛(ほこ)の数に驚く。中でも荒神谷遺跡から出土した銅剣168本が並ぶ姿には感嘆する。なぜこれだけの銅剣が整然と埋められていたのか、想像は尽きない   

国を二分する「出雲」と「大和」の勢力があり、争い、あるいは出雲(大国主命・大黒さん)は「祭祀」、大和(天皇)は「政治」と、役割分担する日本という国の成り立ちが想像できる   

そんな凄い祖先達の血を受け継いでいるのかと思うと楽しくなってきた   

「大和」の古墳や埴輪、多くの神獣鏡も展示されていたが、それを書くスペースはないので、いつかの機会に。


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