理路雑然 /-171-
2021年01月09日(土)
特集記事
理路雑然
握手についての話 先見の明があったと自慢するわけではないが、若い頃から彼女以外との握手は大嫌いだった。理由は簡単でインフルエンザが流行ったとき、平気で次々と握手する政治家の姿を見て、感染を広げる危険な行為に見えたからだ。自身は離れて会釈するに止めた。断れないときは後から手を洗った
今は新型コロナウイルス感染予防のため三密(密閉・密集・密着)を避け、握手、抱擁、キスなどとんでもない。それがマナーになった
握手は紀元前のレリーフやモザイクに、その様子が残っている程古い慣習。世界に広まっている。親しさや喜び、信頼を表すものだった
選挙の候補者が街頭や後援会で握手を欠かさないのは、その心理的裏付けを期待しているからだ。売れっ子芸能人のフアンクラブの握手会が人気なのも同じ。新コロのおかげでこれから先は世界から握手は消滅するかもしれない
我が国にはもともと握手の習慣はない。明治期に伝わったらしい。代わりにお辞儀をする。これは相手に尊敬の意味と敵意がない事を示すのだそうだ。もしかすると古代の人は経験的に病気の感染を避けていたのかもしれない
握手には相手の目をしっかりと見ながら、利き手(原則右手)を使うというマナーがある。なので、握手しながらお辞儀をするのは、欧米の人から見ると笑いのネタになる。米つきバッタじゃあるまいし、ペコペコと何度も頭を下げるのはみっともない。基本的に深く一回だけにするよう心がけている。侍はへつらいお辞儀はしてはならない。