理路雑然 /-174-
2021年02月27日(土)
特集記事
理路雑然
もうすぐ菜種梅雨の季節になるが、毎年傘を忘れてなくす。買ったばかりで特にいい傘から忘れるのが困る
傘をなくすのは人がもつ習慣性に原因があるそうだ。注意力不足だけではない。毎日傘を持って歩くならば忘れることはない。忘れていると違和感を感じて気づく。習慣化していれば何かが足りないと脳からシグナルが送られる
そう言われれば、服を着る順序、料理を食べる順番はほとんど同じなのに気づく。日常行動の大部分は習慣性による。まれに変えると失敗する
習慣性はいつもその度に考えなくていいという長所がある。ぼんやりしていても大丈夫。車の運転も一つひとつ考えて操作してはいない。反射的に体が動いている。自己観察すると行動のほとんどは同じことの繰り返し。あれこれ考えながら脳が指示するなどと非効率的ではない
野球のピッチャーや打者、ラグビーの五郎丸選手もルーティンを繰り返す。そのリズムが脳の指令と筋肉の反応を呼び起こし結果を確かにするのだろう
似たような話だが、重要なことは前もって考えや好みを決意表明しておくほうがいい。面倒な手間を省ける。「こだわり」は徹底した方があれこれ決断疲れがなくなる。なまじ物わかりや柔軟さがあると不利に働く。頑固さは得することが多い。回りもそんな人だと納得してくれる。嫌いな食べ物が出てくることもない。苦手の仕事を押しつけられることもない
傘を忘れるのをなくすのはあきらめた。今は100円均一の店で一番値段の高い傘を買うことにしている。