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【測量の日・特集】(一社)長崎県測量設計コンサルタンツ協会「時代と環境の変化に合わせた技術力の研さんと向上」 /郷土をまもり、未来をつくる

2020年06月03日(水)

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人物

▲福田副会長(左)、安部会長(中)、土橋副会長(右)

▲国への要望活動・意見交換会

▲県への要望活動

▲長崎振興局との意見交換会

▲県内工業高校へ出前測量講座

 1800年、伊能忠敬が実測による全国測量を開始して今年で220年。現代においても、まちづくり・災害支援など様々な分野で活躍する測量設計コンサルタント―。本紙では6月3日の『測量の日』に伴い、(一社)長崎県測量設計コンサルタンツ協会の安部清美会長(扇精光コンサルタンツ㈱)、福田友久副会長(太洋技研㈱)、土橋了聡副会長(㈱実光測量設計)の3人にこれまでの活動と、協会の役割について話を聞いた。 


―印象に残っている活動は

  安部会長 長年にわたり長崎県へ要望してきた「最低制限価格等の改正」に、昨年度対応していただいたこと。今回の改正範囲は「工事請負契約に係る低入札価格調査基準中央公共工事契約制度運用連絡協議会モデル(以下、公契連モデル)」と比べて、準拠が遅れていた「測量業務」と「地質業務」が対象。やっとたどり着けたという達成感で、感謝の念に堪えません。今後は市町にも大きく影響してくると信じています。


 福田副会長 五島市と上五島町においては、県に追随して迅速に対応していただきました。 


 安部会長 また、昨年要望した長崎市は地場企業育成の観点から、今年1月1日付で公契連モデル以上の82~84%という非常に高い結果を得ました。その後、佐世保市や大村市でも改正に至っており、残された市町へ向けても積極的に活動していきたい。 


 福田副会長 ここ2~3年で強く印象に残っているのは、他県への災害支援。昨年度は宮城県や佐賀県などへ派遣し、査定設計に努めました。(※広島は一昨年) 


 安部会長 我々は、上部団体を通じ、国交省九州地方整備局と「災害時における災害応急対策業務の支援に関する協定」を締結。更に「災害時相互応援に関する協定」により、九州各県の測量業協会と連携を強化しています。県内では、2008年から約8年を掛けて各振興局と「大規模災害発生時における支援活動に関する協定」を締結しました。熊本地震や九州北部豪雨はもとより、全国の大規模災害に駆けつけ復旧・復興支援を実施。これらの経験は、必ず県内企業の技術力向上に繋がるものと信じています。 


―今後の活動目標は 

 安部会長 国が推進するデジタルトランスフォーメーション(DX)に向け、継続して技術向上に努めます。DXとは、進化したデジタル技術を浸透させ、生活をより良いものへ変革すること。そのために、今まで以上に充実した勉強会を開催して対応に当たります。また、23年度までに全ての公共事業にBIM/SIMの活用が求められています。会員企業との連携をより一層強化し「時代と環境の変化に合わせた技術力の研さんと向上」を目指します。


  福田副会長 働き方改革への対応では経営者だけでなく、従業員一人一人の意識改革も求められます。新3K(給与・休暇・希望)の実現に向けて、労使双方が協力しながら取り組んでいきます。 


 安部会長 建設関連業界の共通の課題となっている、働き方改革・技術者の高齢化・担い手不足等の課題解消に向けた広報活動の強化が必要と考えています。出前講座や、測量の日・土木の日での業界PRを継続しているが、まだまだと実感しています。卒業生による新たなPRなどを検討し、会員一丸となって取り組んでいきたい。 


―測量とはどんなものでしょうか 

 安部会長 一般に、街角で器機を据えて測っているイメージで単純作業と思われがちです。しかし、地形・地物のデータを細部まで取るという精密な作業をしており、将来的に国土全体をマネジメントするためのもの。時代の変化とともに手法も変化し、最近ではレーザーを用いた新技術が主流です。力や体力を使うものから技術や頭脳を使うものへ、迅速な作業・スムーズなデータ処理が出来る環境へ変わっています。 


―業界を担っていく若手技術者や学生へメッセージを 

 土橋副会長 技術の進歩により、現場での作業時間が短縮しています。男性ばかりの職場と思われがちですが、女性も活躍できる環境。データ処理から入り、現場での活躍も可能です。是非興味を持ってもらいたい。 


 福田副会長 現在は、女性の視点が注目されています。我々の仕事はグランドデザイン。まち全体の未来をつくるという大きな魅力があります。将来の自分を思い浮かべ、理想の暮らしやまち、夢を描いてほしい。 


 安部会長 国民の資産を守り地球環境と国土の保全に係るため、応募いただく学生の中には地元のためにと強い気持ちを持った方もいます。自己実現を果たすため挑戦し、私たちと一緒に長崎のまちづくりへ参加しませんか。 


―最後に、意気込みを

  安部会長 長崎県測量設計コンサルタンツ協会は〝郷土をまもり、未来をつくる〟のキャッチフレーズを掲げ、地域社会の資本整備と維持管理ならびに、安全安心な生活と財産を守るという大きな責任と役割を担っていきます。 


 福田副会長 新しいものをつくる中で、蓄積された社会資本をどのように適切な維持管理をしながら長く使っていくか。そういった分野でもお役に立ちたい。 


 土橋副会長 長年測量一筋で培った技術をもって、県民の皆さんのより良い暮らしをお手伝いできるように情報を発信していきたい。 


(一社)長崎県測量設計コンサルタンツ協会~これまでの歩み~ 
1970年: 任意団体「長崎県測量業協会」発足
1977年: (社)長崎県測量設計業協会長崎県知事設立許可 
1977年: (社)全国測量設計業協会連合会へ加入
2014年: (一社)長崎県測量設計コンサルタンツ協会に移行
2017年: 設立40周年  
2020年: 第43期、会員21社・賛助会員2社




【記者の目】  今回の取材では、新型コロナ対策についても話を聞いた。会員それぞれがテレワークなどを試行する中で、課題抽出に成果を得たという。時代や環境の変化をプラスに捉え、自らの技術向上に繋げる。「これを機に働き方が良い方向に変わっていく」と3人は希望を見出していた。現在同協会は、新型コロナ対策のため「測量の日イベント」を延期しているが、より一層パワーアップして開催されるだろう。今後の活動も要チェックだ。





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