【行政トップインタビュー】社会インフラは『より良い未来への希望』/ 九州地方整備局長崎河川国道事務所・金井仁志所長
2021年08月18日(水)
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今年4月に着任し、職員に向けて「長崎で働く以上は長崎という地域を好きになり、詳しく知ろうとしてほしい。地域を知ることで地域の抱える課題が見えて来る。その解決に向けて道路・河川・砂防の面から何ができるかを考えてほしい」と語った金井仁志九州地方整備局長崎河川国道事務所長。そのかじ取りと主要事業への思いについて話を聞いた。
現場と思いを一つに
長崎河川国道事務所の目指す方向である①地域に信頼される組織であること②地域を一層盛り上げる組織であること③職員一人ひとりがやりがいをもって高いパフォーマンス発揮する組織であること―この3本柱の実現に向けて、引き続き事務所一丸となって、取り組んでいきます。
そして、社会インフラは『地域をより良くする、地域の未来を明るくするための基盤』であると、私は考えています。職員一人ひとりが、現場を担う建設業の方々が、この思いを共有し、仕事に誇りをもって取り組んでほしいと考えています。
かつて公共事業に対する風当たりが非常に厳しい時代があり、今もその当時のイメージを完全に払拭できないままとなっています。建設業も同様に、厳しい視線にさらされたことと思います。また、災害対応など、一刻も早い地域の立ち直りに向けて、必死に取り組んでいることが、やって当たり前とされて日の当たることがないということも加わり、現場が疲弊している面もあるのではないかと感じています。
『自分が携わっている仕事が社会の中でどのように役に立っているのか』ということを発注者・受注者で共有し、思いを一つに仕事をしていきたいと、私は思っています。先に話したように社会インフラは『より良い未来への希望』。私たちと建設業の皆さんは、地域に希望をもたらす仕事を担っているのです。
また、特に災害対応では、地元の建設業がしっかり地元に根付いていないと制限がかかってしまいます。地元に建設業が在り続けられるよう、私たちも支えていかなければならないと思っています。
事業への思い
私が着任した4月1日、雲仙復興事務所が長崎河川国道事務所内砂防課(雲仙砂防管理センター)として、業務が引き継がれました。『より責任が重くなった』という思いはあります。業務の幅が広くなりましたし、災害への備えも引き継ぎ、気を引き締めて取り組まなくてはなりません。地域の方々の思いを汲み、期待に応えていけるよう、対応のきめ細やかさは変わらないよう、しっかりやっていきたいと思います。直轄砂防施設の構築は今年3月末で完了しましたが、砂防施設が十全に機能できるよう、堆砂の除去や堤体維持管理は引き続き実施していきます。
一方、私たちが直轄で整備・管理を行っている本明川(諫早市)でも、過去に多くの災害が発生しています。特に諫早市内で死者・行方不明者630人もの方が犠牲となった1957年の諫早大水害は、今も地域の方々の心に大きな傷跡を残しています。災害による被害を繰り返さないために、そして地域に安全を提供するために、河川整備・ダム整備(※1)をしっかり進めていきたいと思います。
また、道路事業も基幹的なネットワーク構築として重要です。松浦佐々道路、森山拡幅、針尾バイパス、大村諫早拡幅(※2)等、一日でも早く開通させられるよう取り組んでいきます。『東彼杵道路』についても昨年度末に計画段階評価に関する委員会を開催しました。まだまだ踏むべきステップは多くありますが、事業化に向けて、第一歩を踏み出すことが出来たと考えています。
これからも、地域のボトルネックとなっている渋滞・危険箇所の対策や、激甚化する災害に対する防災・減災事業も含め、しっかり取り組んでいきたいと思っています。
長崎というまち
長崎はプライベートで訪れたことがありました。「さまざまな歴史があり、自然や食も豊かでとても良いところ」というイメージを持っていましたから、長崎への辞令は嬉しかった。赴任して4カ月、その思いは変わりません。暮らしてみると、まちがコンパクトにまとまり、それぞれに賑わっていることも魅力だと感じています。コロナ禍でなければもっと賑わっているでしょう。早く収束してほしいと思います。