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【年頭所感】

県政150周年新たな総合計画でさまざまな課題に対応/長崎県・中村法道知事

2021年01月04日(月)

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人物

中村法道県知事

 あけましておめでとうございます。


 皆様には、健やかに新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。


 昨年、世界中で拡がりをみせた新型コロナウイルス感染症については、本県においても、3月に初めての感染者が確認されて以降、感染拡大防止等の対策に力を注いでまいりました。収束は未だ見通せない状況にありますが、感染症の予防・拡大防止対策を講じつつ、社会経済活動の回復・拡大に向けた対策を実施することが重要であると考えておりますので、引き続き、しっかりと取り組んでまいります。


 さて、本県では、「まち」の佇まいが大きく変わろうとしています。


 九州新幹線西九州ルートの長崎~武雄温泉間については、開業時期が「令和4年度秋頃」との見通しが示されました。県としては、これまで以上に市町や経済団体等と連携しながら、県民の気運醸成を図り、開業効果を最大限に高め、県内全域に波及させるための取組を進めてまいります。


 この新幹線整備とあわせ、長崎駅周辺においては、鉄道在来線の高架化事業が昨年3月に完成するとともに、新しい長崎駅舎が開業しました。今後、交流拠点施設やホテルなどまちの賑わいを生み出す施設の整備も進むことから、公共交通機関の乗り継ぎの利便性向上にも取り組んでまいります。引き続き、新幹線開業後のまちづくりを見据えて、官民が連携してまちの魅力を高め、賑わい創出に繋がるよう努めてまいります。


 さらに、県庁舎跡地の活用についても、歴史ある石垣なども活かしながら、県民市民や観光客をはじめ若い方々や企業、学生などが集い、本県に新たな活力をもたらすような交流・賑わいの場の整備を目指し検討を進めてまいります。


 また、特定複合観光施設(IR)区域の整備については、IR事業者を夏頃までに選定し、事業者とともに、国に申請する区域整備計画を作成するなど、今年は非常に重要な1年となります。今後とも、九州各県や経済団体など関係皆様方と一層の連携を図りながら、九州・長崎IRの実現に全力を注いでまいります。


 佐世保港浦頭地区においては、官民連携による国際クルーズターミナルが昨年8月に完成いたしました。2バース化に取り組んでいる長崎港とあわせて、国や船会社、関係機関と連携しクルーズ船の受入環境を整備してまいります。


 昨年も豪雨や台風による災害が発生しましたが、県民の皆様が安心・安全で快適に暮らしていただけるよう、激甚化・頻発化する災害に強く命を守る強靱な地域づくりも推し進めてまいります。


 また、産業分野においては、海洋エネルギー関連産業やAI・IoT・ロボット関連産業、航空機関連産業などの新分野で新たな動きがあり、「産業構造」が大きく変わりつつあります。


 海洋エネルギー関連産業においては、大幅な市場の拡大が期待されており、本県では、こうした需要を取り込むため、サプライチェーンの構築やアジア初の海洋エネルギーの専門人材育成機関として長崎海洋アカデミーを創設するなど、産学官連携で関連産業の育成に全力を注いでおります。


 AI・IoT・ロボット関連産業については、昨年、長崎大学情報データ科学部が開設されるなど、情報系人材の教育環境が充実してきております。このような中、近年、日本を代表する情報サービス系企業の研究・開発拠点が相次ぎ立地しており、県としては、こうした誘致企業と地場情報系企業の連携を進め、情報産業の事業拡大を目指しているところであります。
 また、航空機関連産業では、既に10社を超える中小企業が造船で培った高い金属加工技術を活かして、航空機産業に参入しているなか、昨年11月には三菱重工航空エンジンの長崎工場が誕生したところであり、県内企業の新たな取引へとつながるよう、県内のサプライチェーンの構築・強化に努めながら、航空機産業の育成に力を注いでまいります。


 さらに、半導体分野においても5G関連の需要拡大を受け、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリングの新工場が建設されており、1000名規模の新たな雇用の場も誕生することとなります。 


 加えて、昨年4月から、スタートアップ交流拠点CO―DEJIMAを拠点として、十八親和銀行、長崎市などと連携した「オープンイノベーション型新規ビジネス創出」に取り組んでおります。その結果、首都圏の企業にも参画をいただき、ビジネス化に向けた複数のプロジェクトが始まるなどの成果も出てきております。


 このように、まちや産業が大きく変わり、100年に一度とも言うべき大きな変革の時期を迎えている中、本年は県政150周年の記念すべき年にも当たります。県としては、今春から新たな総合計画をスタートさせ、人口減少や少子高齢化、新型コロナウイルス感染症の影響など様々な課題に対応するとともに、新幹線の開業効果拡大、次なる基幹産業の創出など、県民の皆様と思いを一つにして、チャンスを地域の活性化につなげる施策に取り組み、力強い長崎県づくりにチャレンジしてまいります。


 結びに、この1年が皆様にとりまして輝かしい年となりますよう心からお祈り申し上げます。


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