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【現場ルポ】長崎市全天候型子ども遊戯施設/「子どもたちの笑顔あふれる場所に」/森美工務店・長崎大建JV吉田健太郎氏

2021年09月10日(金)

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人物

内観イメージ図(中央が大型ネット遊具)

吉田氏

土工事を進める現場

施設イメージ図(俯瞰)

 長崎市あぐりの丘で同市初、全天候型子ども遊戯施設(※)の建築工事が始まった。施工を担当する森美工務店・長崎大建JVの現場代理人兼監理技術者、吉田健太郎氏(㈱森美工務店建築部次長)を取材した。



 長崎市あぐりの丘(四杖町2671ノ1ほか)、街のエリアの建設現場では、地盤改良等の土工事が進められていた。今月半ばには基礎躯体工事に入るという。傍らに建つ現場事務所からは伊王島を望め、天候次第で五島列島も顔を見せる。


 「気持ちの良い眺望でしょう。ただその分、風も強いですから頑強な建物でなければならないですし、工事には注意が必要です」


 そう語る吉田氏によると、11月には鉄骨建方、1月中旬ごろに屋根外壁工事に入り、来年7月末の完成を目指す。


 同施設は市内に『子どもたちが雨の日も遊べる施設がほしい』というニーズに応えるべく長崎市が計画、㈱環境デザイン機構が実施設計を担当した。S造平屋建て、円状だが完全な円形でなく、巻貝のように片側が広がった形状。中庭を中心にRが変化することから、「施工時には墨出しチェックをまめに行わなければなりません」。屋根外壁工事も同じ理由から注意が必要だという。また、内部に配置する大型ネット遊具はその大きさから、屋根工事前に鉄骨搬入を行う。


 施設内部にはこの大型ネット遊具のほか、クライミングウォール、ボルタリングウォール、空気膜構造遊具、複合遊具、木のボールプール、ブランコ遊具―と楽しい設備を多く配置する。


 「子どもにとって本当に楽しい施設だと思います。この施設が完成してコロナ禍が収束した暁には、天候に関係なく子どもたちの笑顔と笑い声があふれる、にぎわう場所になってほしい。子育て世代に喜んでもらえる施設になれば」


 その願いの下、同現場を取り仕切る吉田氏は、今年3月に完成した長崎市恐竜博物館建築主体工事の現場代理人も務めた。子どもたちの笑顔に資する大型施設を立て続けに担当。軍艦島を望み、同じくオーシャンビューが広がる恐竜博物館建設現場では風速60㍍の暴風が吹き荒れたこともありながら、工期内の安全施工に尽力した。


 「どの現場でも無事故、無災害。それだけは絶対に守りたい」と吉田氏は表情を引き締める。『無事故・無災害』。当然とされるその言葉の重さを、建設現場を訪れる度に痛感させられる。その達成のためにどれだけの注意を払い、困難に立ち向かっているかが垣間見えるからだ。


 全天候型子ども遊戯施設は来年7月末に施設完成、10月の供用開始予定。今後、施設の愛称も公募される予定だ。「子どもたちの笑顔あふれる場所」への願いを込めて、建築工事はこれからさらに本格化していく。

S造平屋建て、建築面積1761・86平方㍍、延面積1753・67平方㍍。屋根・カラーGL鋼板完全嵌合式平滑葺き(一部縦ハゼ葺き)、外装・カラーGL鋼板縦ハゼ葺き(一部ポリカーボネート中空複層パネル張り)




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