理路雑然―176―
2021年04月17日(土)
特集記事
理路雑然
イカサマという言葉はイメージが良くない。漢字で如何様と書く。「イカ」は「如何(いかが)」の「イカ」で、「サマ」は「様」で様子を表す。「如何様(いかさま)」とは「どのように」が元々の意味。転じて「どう見てもそのとおり」という意味で用いられるようになり、逆に「いかにも本物だが実は偽物」と人に思わせるものを「如何様」と言うようになり、イカサマをする人を如何様師と言うようになったそうだ▼イカサマは英語でフェイク(Fake)という。先のアメリカ大統領選挙で、トランプ前大統領が大手メディアの報道を気に食わないのでフェイクと攻撃していた。合理的にちゃんと反論できず全部フェイクと片づけていたのは滑稽だった。しかし聞く我々は、大手メディアや記事横流しの我が国メディアも、本音が透けて見えるし、どちらがフェイクか混乱した▼世間には科学的な装いのフェイクが満ちている。SNSやテレビ・新聞の広告の多くはイカサマだ。しっかりとした製品はともかく、健康食品や民間薬などの効能は怪しいものばかり。広告にかける費用は当然商品価格に上乗せされるのだから、広告代を買っているようなものだ。初回限定千円の価格はイカサマの手口と考えた方がいい▼新型コロナを巡る話もフェイクが多かった。発生当時からの新聞、週刊誌、テレビ番組を保存している人は見返して欲しい。専門家とされる人がいかにいい加減な話をしていたか驚く▼この一年に得た教訓は、地位・肩書に惑わされず、「如何わしい話は眉に唾をつけて考えよ」ということだ。