特集記事

理路雑然―182―

2021年07月31日(土)

特集記事

理路雑然

 東京オリンピックは、ウイルス感染防止のため中止の声も強かったが、無観客で強行された。残念と思う一方、これまでもオリンピックは批判が多かった▼堅いことをいうようだが、そもそもオリンピック憲章には、「目的はスポーツ文化を通して世界平和の維持と確立に寄与する」こととある。国の威信を図ることでも開催国の経済効果でもない。金メダル獲得競争や勝利至上でもない▼理想は高いが実際の姿を見ると疑問だ。オリンピック幻想と現実の違いは大きい。国という枠を取り払い、アスリートが競い合うことが目的だったはずなのに、国と国との競争になっている。本来、表彰式に国旗を掲げるべきではなかった▼世界の紛争や戦闘に対し平和の維持に寄与しているのだろうか。開催費用は甚大で、多額の予算を出せる国や都市は限られる。費用を捻出するため、スポンサーの広告宣伝やテレビの放映権からの資金に頼り応えなくてはならない。政治的利用も見える。観客や観光を当てにする観光産業という構図の方が正直だ▼どれもきれいごとのオリンピック幻想が利用されている。単に記録や勝ち負け、見る側は楽しむと皆が考えればまだいいのだが▼ここに至れば商業主義をなくすことは出来ないだろうが、控えめにしたいものだ。予算を抑え、新規の競技場は作らないとか、選手村は簡易にする、細か過ぎるルールや記録計測にしない、メディアの報道は減らす、感動ストーリーは作らない、テレビにはでかい広告画面は映さないとか▼でも無理だろうなあ。素直にお祭りと考えテレビで楽しむことにしよう。


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