長与町 町制施行50周年
吉田愼一町長インタビュー /大型事業完成に向け 第一歩の年に
高田南土地区画整理事業・都市計画道路西高田線
2019年01月01日(火)
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きょう1月1日、長与町は町制施行50周年を迎えた。長崎市と時津町に隣接する同町は、現在に至るまで住宅団地やインフラ施設の整備を進めてきた。今では約4万2千人が生活している県内有数のベッドタウンだ。そんな長与町は、この節目の年に高田南土地区画整理事業(長崎県への委託により施行)や都市計画道路西高田線など大型事業完成に向けて、大きな一歩を踏み出そうとしている。住みたい 住み続けたい 住んでよかった―幸福度日本一のまちへ。吉田愼一町長に大型事業へかける想いを聞いた。
◎町制施行50周年を迎えるにあたって
50年という節目の年を迎えることができたのも、町民皆さまの協力あってこそ。心から感謝しております。これまでの歩みを振り返っても、今は多くの人が住んでいる長与町ですが、昔は本当に自然が豊かな町でした。50年の時間をかけて、インフラ、団地整備を進めてきたことで、人口も当時から3万人近く増加しました。今年は長与町の歩みを町民の皆さまと振り返りながら、さまざまな記念事業を企画しています。いつまでも記憶に残るような、そんな1年にしたいです。
◎高田南土地区画整理事業について
長与町では、1986年3月から高田南土地区画整理事業を長崎県に委託し、整備を進めていただいております。事業開始から30年以上が経過しても、宅地造成の整備率は60%弱。早期完成が不可欠だと感じております。
我々としては、何より家屋移転により仮住まいをお願いしている方々をはじめ、地権者の皆さまに少しでも早く土地をお返ししたいというのが一番の想い。〝早期完成〟を最重要施策と考えており、県とも協議を重ねて残工事の一括施工を行う方針を固めました。
―一括施工のメリット、今後の計画は
少しでもスムーズに残工事を終わらせるためには、一括施工は効果的だと考えております。単年度の予算に応じた工事発注になると、どうしても公告から入札、契約までの時間がロスになってしまう。しかし、一括施工であればそのようなロスを無くすことができます。
今後の予定としては、19年度中に発注・契約締結を計画しております。そこから約5年間で造成工事などを完成させ、早く地権者の皆さまに土地をお返ししたいと考えております。その後、換地処分などの手続きに移行し、30年度中の完了を目指しております。
―一括施工の詳細は
整備予定範囲は、施行地区の南東部になりますが、最終的な整備面積はこれから精査していきます。宅地造成と都市計画道路を含む道路整備を行う計画です。
道路整備の中心となるのは、三千隠線(延長741㍍、車道3㍍×2、路側帯0・5㍍×2、歩道2・5㍍×2)です。同路線については、北側にある高田越中央線と南側の道の尾線をつなぐ道路で、現時点までに終点側のみ整備が完了しております。また高田越中央線についても、県立長崎高等技術専門校方面につながる部分が未整備のままです。それも、一括施工の中で整備する方針です。区域内の安全な交通の確保につながる道路となります。
―事業費の確保は
一括施工となると、比較的短期間に多額の事業費を捻出する必要があります。そのため、工事契約と同時期に一部の保留地の売買契約を締結し、その土地代金を工事費に充当する計画です。少しでも負担軽減を図りたいと考えております。
ありがたいことに、保留地が出た場合はすぐに売れてしまうケースが多く、関心の高さがうかがえます。それだけ住宅地としての条件が良い土地だと感じております。
◎都市計画道路西高田線について
都市計画道路西高田線は長与町中心部の渋滞解消と適正な市街地の形成を目的とした事業です。本路線は長与町役場前に新設した長与中央橋からイオンタウン長与を抜け、JR高田踏切に接続する延長約1・3㌔の道路。このうち、長与中央橋から約640㍍の新設区間については、すでに整備が完了し、残るは現道拡幅区間の約690㍍となります。
現道部分は、全幅約6㍍と狭隘で歩道も整備されていません。しかし、県立長崎北陽台高等学校と町立高田中学校に通学する生徒たちが通行するなど歩行者も多い。バスを利用する生徒も多く、バス停付近が乗降客で大変混雑し、車道にはみ出している状況も見受けられます。また終点部分も高田踏切と接続する箇所が特に狭隘であるため、非常に危険な状況。早急な整備は不可欠だと感じております。
―今後の整備計画は
まずは、新設区間との接続部分から北陽台高校までの区間を優先して整備する方針です。すでに本年度から、本区間の用地補償業務や測量業務に着手しております。用地取得後、速やかに拡幅工事に着手する予定です。
本区間の整備後は、JR高田踏切前後の改良工事に着手する予定です。現道拡幅区間の中でも特に狭隘で、路線バス等の大型車両が通行する際は離合も困難となっています。朝夕の交通渋滞の原因の一つとなっていることから、早急な対応が必要だと考えております。その際は、車両及び歩行者の安全確保に最大限配慮し、整備を進めていきます。
―事業費については
本事業については、現在事業認可の変更手続きを行っており、事業費及び事業期間等の変更を予定しております。ただ、並行して実施する高田南土地区画整理事業に多額の事業費を要することから、財政的な舵取りは難しくなると想定しております。しかし、地元自治会などからも〝渋滞解消〟と〝歩行者の安全確保〟を求める声が挙がっており、早期の事業進捗が不可欠の事業。効率的に事業を執行し、早期の事業完了を目指していきます。
◎町内道路の現況について
都市計画道路以外にも、町民の皆さまの安全確保に欠かせない生活道路の整備も重要です。長与町では、16年度に全808路線(総延長203㌔)のうち、バス路線などの主要道路や都市計画区域内道路を中心に、路面性状調査を実施。維持管理計画を策定し、690路線(総延長150㌔)の劣化状況を把握しております。
修繕が必要な道路においては、劣化状況に応じた対応がポイントです。道路の利用状況や埋設物の状況を考慮しながら事業を進めていきます。中でも、舗装などの大規模工事には多大な費用がかかります。各種補助金や起債を上手く活用していきたいです。
◎地元建設業者へメッセージ
安全安心な町づくりのためには、皆さまの力は必要不可欠。大切なパートナーだと思っております。地元を知り尽くしているからこそ、地域の安全を守るためにも無くてはならない存在です。
また大規模な災害がいつ起きてもおかしくない時代となった今、災害対応の点からも地元建設業者の存在は非常に大きいと感じております。万が一の時に、対応いただくためには皆さまが仕事しやすい環境を整えることも重要です。町としても、できることは協力していきます。
◎灯りある長与町幸福度日本一のまちへ
夕方から夜にかけて、庁舎から町を眺めると、車の光や建物の灯りがとても多くなった。(昔と比較しても)本当に変わったなと。真っ暗よりも、やっぱり〝灯り〟があると安心しますよね。そういう安心感が何よりも大切だと思っております。ただハード・ソフト両面の整備はまだまだ必要です。幸福度日本一のまちを目指して、安心感ある町づくりに取り組んでいきたいと強く思います。