理路雑然―187―
2021年11月06日(土)
特集記事
理路雑然
読んでる本に、「世の中にあるものの90%はガラクタで価値がない」とあった。確かに、見回すと広告の90%は嘘っぱちで、あってもなくてもいいものばかり。薬や健康食品、初回限定千円広告の悪口は、以前もこのコラムで書いたので控える。テレビ番組、新聞、雑誌も90%は中身がないし愚かしい。電子メールの99%はゴミで、毎日削除に時間を費やす。投稿メッセージの99%は低脳なたわごと。会議の90%は時間の無駄。発言の90%は無意味な決まり文句で、あってもなくてもいい。どちらか判断ができないものは、ガラクタと考えて差し支えない▼などとあれこれ思い巡らすと世の中に失望しそうだ。しかし逆に考えれば10%は価値があるもの。広告やマスコミ、世論に惑わされず、自分の価値観で価値ある10%を見抜くことは大切だ。90%の人は欺され振り回されているのだから、自信をもってそうではない10%になろう▼とはいえ、話はいささか混乱するが、無駄でガラクタといっていた90%の世の中を、生活の糧にしている人が沢山いるのも事実だ。新型コロナ拡大の中、目の仇にされてきた飲み屋や外食業、娯楽施設、流行品を扱う小売店など、なくても済むとも言えるがないのはさみしい。90%のガラクタが実は世の中を豊かに楽しくしているのかも。そう思えば、90%のガラクタに目くじら立てることはない▼先の戦時下で物が窮乏する中、大きな張り紙のセリフ「贅沢は敵だ」を、誰かが夜にこっそり、「贅沢は素敵だ」と書き変えたという話を思い出した。お上の嘘を見抜く10%はいつの世にもいる。