『地域の守り手としての建設業の経営の安定を』 /長崎県建設業協会大村支部・富永政巳支部長
2022年01月04日(火)
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新しい年を迎え、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
さて一昨年より発生しましたコロナウイルス禍は、昨年も猛威を振るい、東京オリンピックの無観客開催等 社会活動また経済活動に大きな影響を与えました。
そのような中で、令和2年度までの国土強靭化の3ヶ年で7兆円の予算が終了した後に、新たに5ヶ年で15兆円の予算が決定された事は、近年頻発する、集中豪雨、台風による災害対策に資すると伴に、コロナ禍により落ち込んだ経済対策にも貢献する時宜を得た政策だと思います。
このような中で、大村市は一昨年の7月の記録的集中豪雨により、ここ近年にはない規模の河川の氾濫等の災害が発生しました。
一昨年は災害発生直後、県央振興局との災害発生時の支援協定に基づき応急復旧に対応しましたが、昨年発注の災害復旧工事に於いては、県発注、大村市発注工事両方共、不落・不調工事が発生していることに対して、大変申し訳なく思っています。
言い訳がましくて、申し訳ありませんが、私達建設業界としても、支部内で対策を協議し、できる限りのことを実行してまいりましたが、技術者・現場作業員の不足が一番の問題です。
建設業界は現在就業者の26パーセントが60歳以上という高齢化と、それを補う若手入職者の減少という切実で大きな問題に直面しています。
これから対策をこうじなければ、10年後には、現在以上に人手不足の為に工事が計画通り進捗できない等の大きな社会問題になる恐れがあります。
このような状態になった原因の一つに、財政再建の為に、公共工事が削減され、それに伴い、約30年前から10年前までの約20年間の間に、我が国の建設投資額がピーク時の約84兆円から約42兆円まで半減したことが考えられます。
その間に多くの建設業者が倒産や廃業をし、存続できた会社もリストラにより社員数を減らしスリム化して、何とか生きながらえてきました。
そのような状況下では、その時点での社員を維持していくのに、精一杯で新入社員を雇い育成するまでの余裕はありませんでした。
その後、東日本大震災を契機に震災の災害復旧工事等により公共工事の重要性が見直され、さらに国土強靭化の予算が追加され公共工事は、現在 高水準で推移しており、非常にありがたいことだと思っています。
ここ数年の間、毎年日本のどこかで、異常気象による集中豪雨、台風により河川の氾濫、洪水が発生して、地方の建設業者は地域の守り手としての必要性が高まっていると思います。
建設業界は、人手不足への対応に加え、働き方改革による時間外労働の上限規制の猶予期間の終了をまもなく迎えようとしていること等、様々な問題に直面しています。
やはりこのような問題の解決には、まず経営の安定が一番必要なことであると思います。
建設業は受注産業であり、私達業界の自助努力だけでは、難しい面があり、建設投資の約4割をしめる公共事業を含む政府投資の役割が非常に大きいと思います。
現在、公共事業は昔と比較して、平準化により年度末に集中することが減り、私達はありがたく思っています。
今後は、10年間とか中長期的な期間での工事量の安定的確保と平準化が必要になってくると思います。年により工事量の増減が激しければ、経営の安定と順調な工事の進捗は難しいと思います。
様々な無理なことを申し上げましたが、私達建設業界の現状をご理解頂き、今年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
今年も関係各位の皆様のご指導、ご協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。
結びに本年が皆様にとりまして、すばらしい年になりますことをご祈念し新年のご挨拶といたします。