特集記事

理路雑然―189―

2022年01月22日(土)

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理路雑然

理路雑然

 テレビや新聞で世界の動きを知るが、まったくの勘違いが多いことを「ファクトフルネス」という本で読んだ▼政治も経済も事件も、情報はアメリカ、ヨーロッパのことが大部分で、アフリカやアジア諸国のことは少ない。そんな偏りのまま西洋諸国の動きで世界を判断しがちだ▼ところで、世界の人口は現在約70億。ざっと10億単位で見ると、北・南アメリカ10億、ヨーロッパ10億、アフリカ10億、あと40億はアジアになる。割合は1:1:1:4だ。圧倒的にアジアが多い。その中でも中国14億超、インド14億弱が特に大きい。我が日本は1・3億、アメリカは3億強だ▼つまり世界人口の6割近くがアジアに暮らし、これからも増え続ける。人口だけで見るとそれが本当の世界の姿。これにはちょっと驚いた▼もちろん人口がすべてではなく、経済力や文化、軍事力、政治的影響力は総合的なもの。しかし米欧諸国が世界を牛耳る時代は終わろうとしているのは間違いない。近年、中国の動向が強硬なのも納得できる▼また国という単位でひとくくりに見るのも誤解の原因だ。国の中でも高所得者層から低所得者層までさまざま。知識層とそうでない層はそれぞれ違う▼メディアの情報はそれらの違いを伝えない。用心深く、比較し具体的な数字で理解しなければ先入観による勘違いをおこす▼世界の話だけではない。国内の政治や経済、さまざまな事件も、どのような所得層、地域、全体量と占める数字や比率を伝えなければ重要さは分からない。気分や雰囲気、面白さや不満をあおり立てるメディアには特に注意がいる。


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