オックス書棚

『黒牢城』 米澤穂信/KADOKAWA

2022年02月15日(火)

オックス書棚

その他

その他

黒牢城/米澤穂信

時は天正六年の冬、本能寺の変より四年前のことである。織田信長に叛旗を翻して有岡城に立て籠もった荒木村重は、城内で起きる難事件に翻弄される。動揺する人心を落ち着かせるため、土牢に幽閉していた織田方の軍師・黒田官兵衛に謎を解くように求めた。事件の裏には何が潜むのか。戦と推理の果てに村重は、官兵衛は何を企む。宣教師のルイス・フロイスが「甚だ壮大にして見事」と評した有岡城に、信長に謀反した村重の説得に使者として出向いた官兵衛を土牢に幽閉したのは歴史上有名な話である。しかし、様々なことが起きる有岡城で牢獄に閉じ込められた官兵衛の推理が、歴史を動かしていくという作者の本格ミステリーの発想は「羊たちの沈黙」のハンニバル・レクターのようでもあり大変興味深い。歴史ミステリーでもあり、一向門徒の本願寺との関係性、中川清秀や高山右近の裏切り、そして荒木村重のその後など史実に基づいた歴史小説としても傑作である。


KADOKAWA:米澤穂信

1,600円+税


CHECK!

第166回 直木賞受賞 第12回 山田風太郎賞 史上初四大ミステリーランキング完全制覇


TOP