特集記事

理路雑然―195―

2022年04月16日(土)

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理路雑然

 飛行機の出発時間は遅れることが多い。そんなときの場内アナウンスに「到着便の遅れにより・・・」と流れる。そうなのかと思いながらも、よく考えると不思議な説明だ。到着した飛行機が折り返して出発するので当たり前だが、なぜ遅れているか分からない。いやいや、分かったところでどうしようもないのだが▼それでもアナウンスがないまま出発時間が延びると不満の声がおきるだろう。何であれ理由は必要なのだ。もっと強力なのは、部品に不具合が生じたとか、安全運行のためとかだと苦情は言えなくなる▼建設現場も工事看板に、緊急のためとか安全のためとか書いてあるのは、住民の苦情封じやクレーマー対策とも思える。世の中大義名分がいるのだ▼物事を決めるには、いろんな検討が必要だが、詳しく選択肢を比較し、吟味し、決断するのは疲れる。シミュレーションが多すぎると大胆な結論ができなくなる。タイミングを逃す。方針決定に時間をかけてはならないことはリーダーの心得だ▼つまり直感によった方が簡単だ。安い、早い、美しい、安全だなど理由はどうにでも付けられる。理由が思い付かないときは、その方が好きと言うのもある。これには反論しにくい▼世間には問題と答えが対応していないことは多い。通常の会話も第三者が横で聞いていたらチグハグと思うことばかり。政治討論などはその極みだ。それぞれ言い分ばかりが交錯し、どこが一致し何が違うのか理解できない。焦点が定まらないか定めようとしない。どうやら、飛行機遅延のアナウンスと似たようなものだ。


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