測量の日イベント『稲佐山をはかろう‼』 /2022年6月4日に開催
安部清美会長とデミー博士に聞く
2022年06月01日(水)
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国は、測量法を1949年(昭和24年)6月3日に公布、40年を迎えた1989年に「測量の意義と重要性に対する国民の理解と関心を高めること」を目的として6月3日を「測量の日」と制定した。全国では、関係機関等が幅広く「測量の日」を中心とした行事を推進。ここ長崎県においても毎年、(一社)長崎県測量設計コンサルタンツ協会がPR活動に取り組んでいる。
しかしながら、ここ数年は新型コロナウイルス感染症の余波を受け、会場でのイベント制限など、活動自粛を余儀なくされてきた―。そのような中、同協会は〝測量〟の魅力を多くの人に伝えようと、培った技術を駆使し新たなかたちで活動を継続。毎年多くの人でにぎわった測量の日イベント「稲佐山をはかろう!」を、Web会議システムを活用したオンラインクイズ大会として実施。20年と21年の外出自粛が続く中、家族が安全安心に参加でき楽しく測量を学べる場として好評の声を得た。
そして今年―。来る6月4日、3年ぶりとなる「稲佐山をはかろう!」が帰ってくる。本紙では、協会の安部清美会長とイベント開催へ協力したデミー博士へ話を聞いた(わたしたちの“測量”はこちら)。
(一社)長崎県測量設計コンサルタンツ協会
安部清美会長
―このイベントをはじめるきっかけは―
第一回目が4年前(2018年)になります。当時から活発に活動されていたデミー博士とご縁があり、お力を借りて何か出来ないかと協会内で話が出ました。当初は、人が集まるか心配もありましたがデミー博士のお力もあり、親子約50人に参加して頂くことができました。人材不足が叫ばれる中で、若い方々に測量を知ってもらうという意味で大変重要な機会だと思っています。また、業界で働く皆さんにとっても、お子さんに仕事を知ってもらう良い機会になればと―。我々が県内の工業高校で行う出前講座も含めて、測量業界に対する考えも少しずつではありますが変わり始めていると実感しているところです。
―3年ぶりとなる開催について―
よかったな、と本当にこの一言に尽きます。ここ2年間は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止と皆さんの健康を最優先に考え、Web形式でのイベント・オンラインクイズ大会として実施してきました。参加していただいた親子の皆さんからは好評の声をいただくことができましたが、人と人とが接することができず、参加人数も限られたイベントでした。そのような経験も含めてあらためて、実際に会員と来場者がふれあって測量を理解し、測量機器にタッチできることの大切さを感じています。今後も継続して開催していきたいですね。
―最後に測量の魅力とは―
ものづくりの一番はじめの部分に我々測量技術者は従事しており、そこで正確な成果物を作らないと以降の建物や構造物がしっかりと作れないことになります。非常に重要な役割であり、また、自身が携わった測量や設計で計画どおりにそれらが建つことで大きな達成感を得られる仕事。そして、道路1本であってもその地域が活性化する様や、街が変わっていく様子を実感できる仕事です。
噂の土木応援チーム・デミーとマツ
長崎大学大学院工学研究科デミー博士
―今回のイベントについて―
まず、過去二回(2018・2019)の稲佐山イベントを振り返り、協会会員の皆さんと改善点などを話し合いました。それを踏まえて今回は、▽大人気の歩測▽ドローン展示と飛行▽平板測量の体験▽水準測量の体験―の4つのコーナーを設けています。他にも、僕や国土地理院さんが測量についての講演をやる予定です。今回はコーナーの誘導や体験時間を計測することで、来場者のスムーズな移動・楽しむ時間をしっかり確保しました。これまで、イベントを開催することで精一杯でしたが、今回は〝子どもに楽しんでもらう〟を目標に皆さん取り組んでいます。
―これまでのイベントを通して―
稲佐山イベントは常に変化しています。継続していくと同時に、皆さんで課題点をクリアしながら良い方向に向かっているというのが大きなポイントだと思います。回を重ねることによって、会員の皆さんのイベントに対する心境の変化も見えてきました。イベント検討会議の中で、皆さんに〝測量を伝える〟という思い・自覚が芽生え始めていると感じました。参加してくださったご家族とのふれあいを通して、理解が少し定着したと思ってますし、なにより実際に子ども達が楽しむ姿を見るとやる気が出るんです。
―新たな仲間として―
第一回目は企画・監修、第二回目は監修として携わってきましたが、今回僕は特に何も言わず見守るだけでした。この4年間を振り返えると、皆さんがすごく前向きにイベントをやっている姿を見ることができ、なんだかすごく嬉しいですし、とても頼もしく思いました。僕個人でもイベントなどやっていますが、自分ひとりで出来ることは限られています。このように一緒になって出来る新たな仲間、広報マインドを持つチームが育っていって、みんなで土木を盛り上げていければと思っています。今後は、測量設計コンサルタンツ協会だけでなく、その広報マインドが他団体へと広がり、市民や多くの人に土木の良いイメージを持ってもらえるよう願っています。