特集記事

【測量の日SPECIAL企画】〝わたしたちの測量〟

(一社)長崎県測量設計コンサルタンツ協会

2022年06月01日(水)

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人物

㈲吉川土木コンサルタント技術部・髙橋聡課長、技術部・北島隆之課長補佐

扇精光コンサルタンツ㈱技術営業部・西公隆次長、先端技術チーム・立山恭造主任

E-tecsコンサルタント㈱技術部・八十島徳三 技師長

太洋技研㈱技術開発部・草原育弥課長補佐、鄭聖也課長補佐

測量業界に従事する方々を紹介します(測量の日イベント『稲佐山をはかろう‼』はこちら


※インタビュー記事PDFはこちらを参照



『見て・聞いて・話す、土木構造物のお医者さん』


㈲吉川土木コンサルタント技術部 

髙橋聡課長/北島隆之課長補佐


髙橋 社会インフラ点検とは、既存の土木構造物等を長寿命化させる目的で点検・診断・補修を行う業務です。簡単に述べると土木構造物の寿命を延ばすお医者さんのような役割です。現在、我が国では国土強靭化計画というものが定められており、それを基にインフラ施設の定期点検等が行われています。我々は、点検する際に『見る』『聞く』『話す』を重視して実施しています。『見る』は、構造物の状態を目視でしっかり確認します。『聞く』は打音点検と言って、コンクリートをハンマーで軽く叩いて内部音を確認するものです。そして『話す』は、その施設を利用する地域の方々と語らい、普段から異常がないか情報収集します。トンネルや橋梁においては、梯子点検が不可能な場合は専用車両を使用した点検を行います。また、長崎市内では、眼鏡橋が重要文化財であり人道橋という事から、専用車両ではなくロープ高所技術を使った特殊な点検も行っています。


北島 統計的に見ると、施設や構造物を建設後、約50年を目安に補修の必要性が増えてきます。現在、その50年を超えるインフラ施設が急激に増加しており、今後、点検業務を担う技術者の不足や、補修費用などの予算確保が課題になると言われています。しかし、近年は新技術を活用した点検が推奨され、ドローンなどにより費用の縮減・作業効率が改善しています。今後は、積極的に新技術を活用するとともに、その魅力や楽しさを地域の方々へ発信し、一緒になって社会インフラ施設の長寿命化に寄与していきたいと思います。



『災害時には迅速な調査・報告を行っています』


E-tecsコンサルタント㈱技術部

八十島徳三技師長


 公共施設である道路や河川、農業施設などが大雨・地震等により被災した際、我々、建設コンサルタントが管理者と協力して現地の状況などを確認したりします。これは一般社団法人測量設計コンサルタンツ協会が長崎県、県各振興局や長崎市などと結んだ災害支援協定を基に、現地調査(災害報告)に赴いています。迅速な調査ならびに調査報告は一刻を争うため、協会内部で活動可能な会員を調整して現地調査に入ります。


 2020年7月には、大雨により大村市を中心に被害を受けたのは記憶に新しいと思います。当時は、要請を受けた多くの協会会員が現地調査に向かい、被災状況の調査を行いました。当社は堤防が決壊し付近の田畑が大きな被害を受けた佐奈河内川を担当しました。被災箇所を目視で確認し、堤防や護岸のどこが壊れているかを計測し写真で記録、報告しました。現地調査においては、当然まだ川の増水などで危険な状況のため、安全確保を第一に、二次災害への警戒を常に持って取り組みました。近年では、ドローンの活用などにより調査の安全面・技術面が格段に向上しています。


 災害への対策は、まずは国民の安全安心を確保するために、施設の整備のみならずソフト対策として避難などが必要と考えています。今後も行政に協力して皆様の安全安心に寄与していきたいと思っています。



『データとデジタルの力で社会を変革する』


扇精光コンサルタンツ㈱

技術営業部西公隆次長/先端技術チーム立山恭造主任


西 データとデジタルの力で社会を変革することをDX(デジタルトランスフォーメーション)といいます。ひとつご紹介すると、国土交通省が主導するPLATEAU(プラトー)という日本全国の3D都市モデルの整備・活用を目指すプロジェクトがあります。このホームページでは3次元の地図が公開され、ひとつひとつの建物の名称から構造、高さなどの属性情報がついています。これらの情報は、各地方自治体が行う都市計画基礎調査というものを参考に作られており、その業務に携わるのが我々測量技術者です。3D都市モデルは誰もが見れ、そして活用することができます。例えば災害についてご家族と考える際、2次元の地図で避難場所を検討するより3次元の方が分かりやすく、よく耳にする垂直避難なども考えながら今までより高度な避難計画を作ることができます。まさにデータとデジタルで防災対策を変革しているのです。このほか、ドローン輸送や自動運転技術などへの活用が見込まれており、近未来の生活がすぐそこまで来ています。


立山 このプロジェクトに参画する機会に恵まれ、3D都市モデルに関する技術を磨きました。近年では、建物の内部も3D化されており施設内の避難計画や、内装の改修計画などに活用されています。長崎県も、他県に先駆けて浦上川周辺の3Dモデルを作っている最中です。この経験と技術を持って、今後も県内のDX事業に貢献していきたいと思っています。



『資格は名刺代わり。努力の現れ』


太洋技研㈱技術開発部

草原育弥課長補佐/鄭聖也課長補佐


草原 国家資格の技術士建設部門(選択科目・道路)の取得に向けて勉強に取り組んでいます。業界における最高峰の資格の一つという事で取得を目指しています。これまで取得した資格は6つ。なかなか時間を確保して勉強することが難しく、常に意識を持って空き時間を活用して取り組んでいます。過去に、RCCMの2部門を取得した時はしっかりとした準備・対策で挑み、無事にその成果が出たことが嬉しかったですね。技術士試験には論文があり、自分ひとりでは内容の確認、添削等に悩んでしまうため、今後、協会の中で技術士の講習会や勉強会等があれば是非参加したいと思います。


 私はRCCM道路部門を受けようと思っています。発注者や関係者の皆様に名刺を渡す際には、取得資格に関する専門的知識があるんだと理解を得ることができます。そのような考えを持って毎年何かしらの資格に挑戦し、これまで9つの資格を取得しました。勉強は主に早朝や空き時間を活用しています。技術士に挑んだ時は、先輩方から非常に難しい試験と聞かされ、実際の勉強も暗中模索しているような感覚でした。その長い期間を経て取得した喜びもひとしおでした。資格は名刺代わり。相手にどのような技術者か伝えることができる上、その勉強を経て自身のスキルアップもできいい事尽くめです。人よりも何かを多く得るためには多くの努力が必要で、それが資格として現れるものだと思っています。


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