特集記事

理路雑然―202―

2022年07月30日(土)

特集記事

理路雑然

 嘘をつくならもっともらしくて大きな方がいい。すぐにばれるならやめた方がいい▼嘘のつき方ではなく、欺されないための用心の話だ。特に責任者がいないか変わる可能性のあるものは要注意。責任者が複数の場合も、あれこれ責任転嫁でうやむやになる。担当者が変わると前任者を追及できないのが普通。役所や大企業に多く見かける▼政治の世界では、嘘と分かるのに何年も時間がかかる場合。大規模事業は任期の間に結果が出ないことがほとんど。一旦議会で決めて予算を組むと、計画に無理があると分かっても止めにくい。予想外を理由に決定事項を変えるのは困難だ。しくじりの責任を現在の責任者が認めるわけがない。失敗を取り繕い、あれこれ嘘の上塗りが続き、とどのつまり大きな予算オーバー。そんな事例はあふれている▼決めたことを絶対化することはない。誤解している人が多いが、民主的な決め方は必ずしも正しい結果を生むわけではない。いや失敗の方が多い。民主主義の長所と欠点は、その時(だけの)の多数意見で決めることにある。その後失敗が明らかになっても、それを決めた一人は私だと誰もいわない。ただしその損害は全員が負わなければならないのが民主主義▼要するに民主的とは前に決めたことを今の多数がいつ変えてもかまわないやり方。諸外国に対しての約束は簡単ではないが、普通のことは差し支えない。いや民主主義だけがそれができる不思議で素晴らしい制度だ▼仕事や政治の世界についても、もっともらしい大きな嘘ではないかと疑問を持つのは大切だ。


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