ヘルドッグス・地獄の犬たち　深町秋生／角川文庫

　関東最大の暴力団・東鞘会の中でも、武闘派の神津組で若頭補佐を務める兼高昭吾は、相性率98％の相棒であるサイコパス・室岡秀喜と共に抗争相手を潜伏先の沖縄で殺害した。表向きは平静を装いつつも懊悩する兼高、彼は密名を帯びた警視庁組対部の潜入捜査官だった。東鞘会七代目会長の十朱義孝が握る、警視庁を揺るがす秘密とは何なのか。潜入捜査のため、顔を整形して刺青を彫り極悪非道のヤクザになりきろうとする兼高は、彼を兄貴と慕う室岡たちを仲間のように感じながら、警視庁組対部の隊長で兼高の上司である阿内将に定期的に連絡を入れることにより、極限の緊張状態を維持していくのであった。そして常軌を逸した作戦が決行されていく。

　兼高をはじめ、室岡、十朱、阿内、神津組組長の土岐など、魅力的な登場人物ばかりで、警察小説の枠を超えた問題作であり、アウトレイジで闇落ちした男たちのノワール小説である。

深町秋生／角川文庫

840円+税

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今年発売の続編・「煉獄の獅子たち」、完結篇・「天国の修羅たち」もお薦めです！